ウォール街が警戒する、「バイデン新大統領」の市場への影響

民主党のジョー・バイデン候補 / Getty Images

今年11月の米大統領選に関する世論調査で、民主党ジョー・バイデン候補の人気が急上昇していることを受け、ウォール街のエグゼクティブたちは、バイデン氏が大統領に就任するシナリオに備えている。さらに、一部の企業は顧客に対して、株式市場が打撃を受ける可能性があると警告している。

リアルクリア・ポリティクス(RealClearPolitics)の調査によれば、オバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏の支持率は、現職のトランプ氏を全国平均で10ポイント上回っており、民主党と共和党の支持が拮抗するウィスコンシン、ペンシルベニア、フロリダ、ミシガンといった「スイング・ステート」でも堅実なリードを保っている。

バイデン氏は5月、資金調達額でもトランプ氏を上回った。ギャラップ(Gallup)の調査によると、トランプ氏の支持率は、新型コロナウイルス・パンデミックによる景気後退を受けて39%に急落した。これは、彼の在職期間中の最低値に近い数字だ。

トランプ氏が再選を阻まれた場合、ウォール街がもっとも懸念するのは法人税の引き上げだ。バイデン氏は2019年12月、トランプ大統領が2017年末に成立させ、企業利益を大幅に改善させた「法人税引き下げ」を撤回すると公約した。

裕福な経営者や投資家の多くは、公の場では穏健な政治的見解を披露しつつも、密かにトランプ大統領を支持してきた。減税と規制緩和の取り組みを評価してのことだ。だが、一部がバイデン政権誕生への備えに入るいま、ウォール街にははっきりと変化の兆候が見て取れる。

今回の選挙が株式市場に与えうる影響のかなりの部分は、共和党の上院支配が続くかどうかにかかっている。もしそうなれば、民主党が大規模な経済的変革を実現できる可能性は低くなる。

一部の金融幹部やアナリストは、11月に民主党がホワイトハウスと上院の両方を支配した場合、規制強化と増税がビジネスに悪影響を与え、株式市場が打撃を受ける可能性があると警告している。

「上院が共和党優位のままであれば、政策転換に関して心配ごとは少ない」と、チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)の最高投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース(Liz Ann Sonders)はCNBCに語った。

バイタル・ナレッジ(Vital Knowledge)の創業者アダム・クリサフリ(Adam Crisafulli)は、世論調査が示すトランプ氏の見通しは「どう見ても暗いものだ」としつつも、市場は「今のところ、この問題にあまり注目していない」と述べた。「なぜなら2016年にも、世論調査は選挙期間中、ほぼ一貫してトランプ氏の敗北を予想していたからだ」(ただし、現在のバイデン氏のリードは、2016年にヒラリー・クリントン氏が保っていたリードよりもはるかに大きい)。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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