ウォール街が警戒する、「バイデン新大統領」の市場への影響

民主党のジョー・バイデン候補 / Getty Images


加えて株式市場は、選挙までに経済状況が大きく変化することを想定していると、クリサフリは言う。「新型コロナウイルス感染状況の改善、ワクチン開発成功の見込み、追加の景気刺激策、成長率の上昇(および失業率の低下)」といった要因は、いずれもトランプ氏の支持率上昇という世論調査の結果につながる可能性がある。

モルガン・スタンレーのアナリストは最近のリポートで、「共和党が圧勝すれば、現行の税制と赤字支出傾向が持続する可能性が高い」と述べている。ゴールドマン・サックスなどの大手も同様に、民主党が大勝する結果になれば、収益性と配当金はリスクにさらされ、2021年のS&P500の1株あたり利益は減少するだろうと警鐘を鳴らしている。

一方で、クレディ・スイスのように、増税は市場にとって逆風となるが、その他の民主党の政策は「経済を後押しするものであり続ける」との見方もある。

RBCキャピタルマーケッツ(RBC Capital Markets)の最近の調査によると、同社顧客の過半数は依然として、トランプ氏の再選が市場にとってプラスだと考えている。バイデン氏の大統領就任は、株式市場にマイナスの影響を与えると答えた者は60%に上った。

民主党の予備選ではバーニー・サンダース氏を大きく上回ったバイデン氏だが、2020年に入るまで、全米では依然トランプ氏が優勢と考えられていた。しかし、新型コロナウイルス・パンデミックが始まって以来、3千万人ほどの米国人が職を失い、多くの企業がいまも休業中だ。感染拡大への対応をめぐって政権は批判を浴び、トランプ大統領はここ数カ月で有権者の支持を失いつつある。

ウォール街は以前もバイデン大統領誕生の可能性を検討してはいたが、世論調査での急速な支持率上昇を受け、このシナリオは現実味を帯びてきている。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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