「脱・美白」を発表したロレアル 180億円をかけ環境問題にコミット

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フランス本社の新プログラムの発表を受けて、日本ロレアルも新たな目標を発表した。日本のSDGs達成度は世界ランキング15位と、主に欧州諸国から遅れをとっている。日本において特に優先的な課題とされるのは、ジェンダー平等、持続可能な消費と生産、気候変動、グローバル・パートナーシップの活性化だ。日本ロレアルはこれら4つの課題に重点をおく新たな目標を設定した。

特に日本ロレアルでは従来より女性の活躍支援を積極的に行なっており、今回の新たな目標では環境保全の取り組みと並行して女性のエンパワーメントにも注力していく。

ロレアル
2019年パリファッションウィークでのロレアルのショー(Getty Images)

日本ロレアルは2016年からシングルマザー就労支援プログラム「未来への扉」を行なっており、2019年時点で120名のプログラム修了者のうち、過半数の所得増につながっているという。今後もこの就労支援を続けるほか、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりさらに困難な状況に置かれたシングルマザー、あるいはひとり親世帯にロレアル社製品の寄付を行なっている。

女性管理職は53% 役員クラスも50%に引き上げ


女性研究者の支援や女性リーダーの育成にも力を入れている。すでに女性管理職者数は全体の53%と高い比率であるが、2025年までに現状38%の役員クラスでも50%まで増員することを目指す。その他にも若い女性のメンタルヘルスケアを行うNPO法人と、傘下ブランド「MAYBELLINE NEW YORK」がコラボレーションし、メイベリン専属メイクアップアーティストとのインスタライブ配信企画を行うなど、日本ロレアルが掲げる「すべての人生に、美しく生きる力を。」の理念のもと様々な活動を進めている。

シュウ ウエムラ、イヴ・サンローラン・ボーテ、キールズなど日本ロレアル傘下の主要全11ブランドは2021年までに、独自のサステナビリティプログラムを開始する予定だ。

仏ロレアルは、昨年世界で初めてバイオベースの紙類似素材からできた化粧品チューブを開発し、2020年から実用予定との旨を発表して話題となった。世界の「美」をリードする会社の取り組みは、幅広い層にとって地球環境やサステナブルな社会活動について考えるきっかけとなっていくかもしれない。

文=河村優

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