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企業はもはや顧客に対して中立的な立場ではなく、その立ち位置や価値観を提示するという役割が求められている。理念にもとづいた社会的アクションを起こし、消費者の賛同を得られるブランドが生き残っていく時代といえるかもしれない。

化粧品世界最大手の仏ロレアルは6月末、自社のスキンケア製品から「ホワイト、ホワイトニング、フェアネス、ライトニング」など美白や色白を指す文言を削除することを発表した。こうした動きは日用品大手ユニリーバや米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソンでも見られ、世界で巻き起こった黒人人種差別問題を受けた企業の対応策だ。

「美白」を良しとする風潮と白人至上主義の問題を同列で語ることが果たして可能なのか、さまざまな議論を呼んでいるが、企業のマインドを示す事例となりそうだ。

気候変動に対してどうコミットするか? 具体策を提示


また仏ロレアル本社は2030年に向けた新たなサステナビリティ目標を掲げ、サステナビリティプログラム「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」の開始を発表した。この新たなプロジェクトのキーワードは「プラネタリー・バウンダリー」だ。

プラネタリー・バウンダリーの概念は、ストックホルム・レジリエンス・センターとオーストラリア国立大学の主導のもと、地球環境システムの科学者グループによって2009年に定義されたものだ。現在の地球環境は「気候変動、生物圏の一体性、土地利用変化、生物地球化学的循環」の分野ですでに人間が安全に活動できる境界を越えているという。

資源はいまや限界を迎え、地球は人類が豊かに生存し続けるための基盤ではなく生活するのに高リスクな土地へと私たちが変貌させてしまった。ロレアルではプラネタリー・バウンダリー、すなわち「地球の限界」を尊重し、その範囲内でのビジネス運営を目指す。

具体的には、2030年までに温室効果ガスの排出量を1製品あたり、2016年比の50%にまで削減すること、再生可能エネルギーを100%使用するなどのエネルギー効率改善を行い、これまでは実現が難しかった生産工場でもカーボン・ニュートラルを達成すること、製品パッケージに使用するプラスチックを100%リサイクル、もしくはバイオベースに変更すること、を実行するという。また、A〜Eの5段階で製品の環境・社会的影響を示す「ラベリングシステム」を導入し、消費者をも巻き込んだサステナブルな取り組みを目標とする。

これまでもグループ全体で環境問題への取り組みを先駆けて行ない、高い評価を受けているロレアルだが、今回のプロジェクトはさらに大規模のものにするとして、1億5000万ユーロ、日本円にして約180億円が充当される。

6月26日に行われたオンライン会見で、ロレアルグループの会長兼CEOジャン・ポール=アゴンは「世界最大の美の会社として、世界の美について考えることは当たり前のこと」とコメントし、取り組みを加速させていく姿勢を見せた。

文=河村優

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