キャリア・教育

2020.07.03 09:00

人事が覚悟を持つには、“誰のために働いているのか?”を自覚することが必要


“経営目線”があれば、経営者と共に企業を創っていくことができる


ヤマグチ:お話をしていて改めて感じたのですが、今回のお話って「“経営目線”があれば、採用に勝てる」というレイヤーの話にきっと留まらないですよね?

経営目線を身につけることによって、採用だけでなく「組織の全体像を描いていく能力や意識」が高まっていくように思えたのですが、杉浦さんはどのようにお考えでしょうか?

杉浦:その通りで、人事が経営者と同じ目線に立って会社の方向性を考えられるようになると、経営者よりもヒトの事に関しては先回りして提言できるようになります。

私が企業人事だった頃は「経営者への提案時」にその視座の高さが役立っていたなと。



ヤマグチ:その経営者への提案に関して、具体的なエピソードがあれば教えていただけますか?

杉浦:自分の場合、三幸製菓時代に「400億円の売上からどう成長させるか?」を考える機会がありました。

事業状況を見た時に、「国内でパイを広げるなら事業の多角化を狙わないといけないし、既存の事業のままで行くなら海外展開を狙わないといけないな」と、人事の立場でありながら考えていて。

この時は、私から経営陣へ「新潟の一企業で居続けたいのか? それとも日本を代表するナショナルカンパニーになりたいのか?」と、大きな問いを投げかけました。

「ナショナルカンパニーになりたいなら、今までとは違う多様な人材を採用し活躍させる必要があるので、人事としてはそれを見据えて今から動いていく必要があります。どうしますか?」と。

ヤマグチ:その時、社長はどのようにお答えになりましたか?



杉浦:社長は「ナショナルカンパニーになりたい」と答えたので、「じゃあ実行しましょう」とこちらも答えました。

結局、最後は全責任を取って死ぬ気で起業しているのはトップだからこそ、その社長のイメージを形にするのが人事のミッションなんですよね。

そして、経営者よりも先に未来を読むくらい努力をする姿勢も見せながら、イメージ実現のために社内の人も巻き込んでいかないといけない。

だから、本当に毎日のように周りに「俺はこうしたいんだ!」ということをオフィスでも飲み会でも、あらゆる場所で言い続けていきました。

そうすると不思議なことに、徐々に自分の思いが周りに伝播していくんですよね。「あいつがそこまで言うなら、ちょっと手伝ってやるか」みたいな感じで。

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文=山口達也 写真=福嶋賢人

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