ナイティンバーは、ウェスト・サセックス州を拠点に、イギリス南部の各地に畑を持ち、広大な自社畑のブドウから、シャンパーニュと同じ3つのブドウ品種から同じ製法でスパークリング・ワインを造る。1988年に最初のブドウの樹を植えたのが始まりで、イギリスで初めて、この3品種のブドウに限定してスパークリング・ワインを造った生産者であり、最大規模を誇る。
複数の収穫年のブドウをブレンドして造るマルチ・ヴィンテージの「クラシック・キュヴェ」は、リリース当初から国際的なワインの品評会でメダルをとるなど、安定して成長しているナイティンバーのフラッグシップだ。
ナイティンバーは、2006年に現オーナーであるエリック・ヘレマ氏の手に渡った。そこから畑を拡大し、設備に投資し、品質を維持しながら生産量を増やし、国際的な認知度を高めてきた。まさに、イギリスのスパークリング・ワインを牽引する存在だ。
クラシック・キュヴェ
カナダ人の醸造家夫婦
ナイティンバーの品質を支えているのは、醸造責任者のシェリー・スプリッグス氏と、夫であり、醸造家のブラッド・グレイトリックス氏だ。スプリッグス氏は、2018年に、「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」で、シャンパーニュ地方以外で初めて、かつ女性で初めての「スパークリングワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した実力者である。
カナダ人のふたりがナイティンバーに参画したのは2007年。それ以前はカナダを拠点に、オーストラリアなど様々な場所でワイン造りをしていた。
あるとき、イギリス出身のスプリッグス氏の父からのギフトでナイティンバーのワインを飲む機会があり、その素晴らしさに感銘を受け、すぐさまワイナリーの代表メールアドレスにその思いを送信したという。
オーナーとの面談のあと、2週間後にはイギリスに引っ越し、仕事を始めたのだ。オーナーもふたりの情熱と可能性に、将来のナイティンバーの姿を描いたのだろう。
「学生時代に醸造学を勉強していた頃から、スパークリング・ワイン造りには興味を持っていました。ナイティンバーでの仕事は、まさに私たちのドリーム・ジョブです」
グレイトリックス氏はこう話してくれた。
醸造家のブラッド・グレイトリックス氏と、醸造責任者のシェリー・スプリッグス氏