トランプ大統領は「The Room Where It Happened(それが起きた部屋)」と題されたボルトンの著書に、「国家の機密情報が含まれている」として出版差し止めを求めたが、裁判所はこの訴えを棄却していた。
批評家らはボルトンがトランプ政権の内幕を議会で証言するのではなく、出版物にまとめ、報酬を受け取ったことを批判しているが、トランプが中国の習近平主席に彼の再選を手助けするよう求めたなどの暴露話は、大きな注目を集めることになった。
ネット上では既に海賊版も拡散しており、ボルトンの印税収入に貢献したくない人々が、その読者となっている模様だ。トランプの姪にあたるマリー・トランプも暴露本の出版準備を進めているが、ニューヨーク地裁は先日、この著書の出版を一時的に差し止める判決を下していた。
6月30日にはワシントンD.C.の裁判所でボルトンの著書に関連した別の訴えが起こされた。原告らは連邦政府に対し著書の内容に機密が含まれるのか、もしくは単純にトランプにとって恥ずべき内容であるのかの、説明を求めようとしている。
ボルトンは著書の発売にあたり200万ドル(約2億1500万円)の前払い金を受け取ったとされている。
米国のインディペンデント系書店のオーナーらは、ボルトンが国家の機密を金儲けに用いたことに不快感を示している。しかし、大手書店バーンズ&ノーブルは、この書籍をベストセラーのコーナーに並べ、顧客らに売り込んでいる。
トランプ政権の内幕をテーマとした書籍は、これ以外にも数多く出版されてきた。2018年1月に発売されたマイケル・ウォルフの「炎と怒り : トランプ政権の内幕」も即座にベストセラーとなっていた。
また、ウォーターゲート事件を暴露したボブ・ウッドワードによる「恐怖の男 トランプ政権の真実(Fear: Trump in the White House)」も話題作となり、第2弾が今秋発売予定という。マリー・トランプが出版予定の暴露本は、ボルトンの著書と同じ、サイモン&シュスターから発売される予定だ。