ビジネス

2020.07.06

「特定質問」がカギ 商談相手の薄い反応を逆転する方法 

Ariel Skelley/Getty Images


そのうち、だんだんと感触がつかめるようになってきました。お客様の関心事を深掘りして聞いた後は、こちらの話に耳を傾けてくれるようになるし、商談の温度感も上がるようになりました。

説明やプレゼンのトークスキルを磨くより、「相手の関心事に対してこちらが話すことをいかにマッチさせるか」に注力することで、反応は自然とよくなりました。

先方のリアクションが薄くなってしまうときは、「営業の説明が顧客の関心事とズレているが、それを営業に言えない」あるいは「関心には沿っていても、営業の伝え方に問題があって、お客様が理解できない」のいずれかではないか。私は、そんなふうに考えるようになりました。

相手に確認の質問をしていくことが大事


相手の興味関心をつかまないままにいきなり説明するということさえ避ければ、まずは最初のハードルはクリアです。

次は、こちらの説明がズレていないかどうかを確かめていきます。

そのためには、一方的にこちらが話す時間が長くなりすぎないよう、その都度、相手に確認の質問をしていくことが大事です。

ただし、注意点があります。「ここまで説明したことについて不明な点はありますか?」といったクローズドクエスチョンや、「どんなことが気になりますか?」というオープンクエスチョンでは、明確な答えが返ってきづらいということです。

これらの質問は、一見、相手の理解度を確認する親切な質問に見えます。しかし、その場で「私の不明点はこれこれで……」のように即答できる人は稀です。多くのお客様は、「どこがわかっていて、どこがわからないのか」をはっきり説明するより、とりあえず「いまのところは大丈夫です」と答えるでしょう。

ここが大きな落とし穴です。いったん「いまのところは大丈夫です」と答えたのは、すっきり納得しているわけではなく、単にその場で答えを思いつかなかっただけなのです。

そこで、お客様へ確認の質問をする際には、具体的な観点を提示し、答えやすさを考慮する必要があります。

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顧客に「考える観点」を提示するやり方には2通りあります。

1つは「選択肢付きクローズドクエスチョン」です。「導入を前向きに検討したいか、気になることがあってもう少し立ち止まって考えたいか、どちらに近いですか?」のように、いくつか選択肢を設けて聞けば、相手はどれかを選べばよいので、答えやすくなります。

もう1つは「条件付きオープンクエスチョン」です。「他のお客様からは、導入にあたり現場の巻き込み方についてご質問をよくいただきますが、御社としてはどんなことが気になりますか?」のように、他社の例を付け加えるなど、具体的な観点をセットして提示することで、相手が答えやすくなります。

選択肢付きクローズドクエスチョンと条件付きオープンクエスチョンは、具体的な観点を添えて問う「特定質問」として、相手のリアクションを促す有効な武器になります。

こういった質問によってお客様の意見や反応を引き出せたら、あとは相手とペースを合わせて、一緒に考えてきましょう。これでお客様の温度感も上がってきます。

前述のように、オンライン商談では「お客様の反応が薄いためにやりづらい」と感じる営業の方も多いのですが、こちらからの質問に工夫を施すことで、先方とのズレを解消するコツがつかめ、商談の進み方もスムーズになります。ぜひ、質問力を養ってオンライン商談を攻略しましょう。

連載:「個の時代」に、生きるチカラとしての“営業力”を
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文=高橋浩一

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