ビジネス

2020.07.01

在宅フィットネスのMirrorが540億円で買収、ヨガブランド大手に

ミラー創業者でCEOのBrynn Putnam(Photo by Tommaso Boddi/Getty Images for The Mirror)

自宅に設置する鏡型のデバイス経由で、フィットネス講座を提供するスタートアップ「ミラー(Mirror)」が6月29日、ヨガブランドのルルレモン(Lululemon)からの買収提案を受け入れると宣言した。買収額は5億ドル(約540億円)とされている。

ニューヨーク本拠のミラーは、元バレリーナのBrynn Putnamが設立した企業で、自宅でフィットネス講座が受けられるインタラクティブな鏡を約1500ドルで販売している。同社の業績はパンデミックの前から好調で、昨年の推定売上は4500万ドルとされ、2020年は1億ドルの到達が予想されていた。

ミラーは今年のフォーブスのNext Billion-Dollar Startups(次世代スタートアップ)に選出され、創業者のPutnamは「まだ4月なのにクリスマス並みの売上を記録している」とインタビューで話していた。

Putnamは買収後もルルレモンCEOのカルヴァン・マクドナルドの指揮下で、ミラーのCEOの任務を続行するという。「当社はルルレモン傘下の企業として、ポジションを固め成長を加速させる」と彼女は声明で述べている。

2社は昨年の中頃から提携を結んでおり、マクドナルドはミラーの買収によりルルレモンのデジタル戦略を強化したい考えだ。

買収がアナウンスされる以前に、フォーブスはミラーの企業価値を3億ドルと試算し、創業者のPutnamの保有資産が少なくとも8000万ドルと推定していた。今回の買収でミラーの価値が5億ドルとされたことで、Putnamの資産は1億3000万ドル以上に達したことになる。

ミラーの出資元のベンチャーキャピタルも巨額のリターンを得ることになった。同社にはヘッジファンド界のビリオネアのスティーブ・コーエンが設立したPoint72 Venturesや、Lerer Hippeau、Spark Capitalなどが出資している。

Lerer HippeauのマネージングディレクターのBen Lererはフォーブスの取材に「Brynnは起業家としてスーパースターであり、当社が得たリターンもスーパースター級だ」と話した。「どのような観点から言ってもこれはおとぎ話のようなストーリーだ」

パンデミックはエクササイズ関連のテック企業の追い風となり、エアロバイクのPelotonの企業価値は16億ドルに高まったほか、ローイングエクササイズマシンのHydrowも先日、企業価値1億ドルで2500万ドルを調達した。

一方、ルルレモンは苦戦しており、直近の四半期の売上は前年同期比17%減の6億5200万ドルに低下し、純利益も前年の9700万ドルから2900万ドルに減少していた。

編集=上田裕資

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