ビジネス

2020.06.30 11:30

マイクロソフト全直営店の閉鎖、複雑化する小売業界を予兆か


複雑化する環境


新たな環境が意味することの一つは、販売員の仕事はもはや、販売だけに限定できないということだ。彼らは取り扱う製品に関する豊富な知識を持たなくてはならず、顧客を助けるためのよき聞き手にならなくてはいけない。これはおそらく、平均的な販売員の賃金を引き上げる必要があるということでもある。

さらに、店舗の経済を機能させるためには、店内でどれだけ販売したかではなく、どれだけの影響を売上高に及ぼしているかによって、販売員のパフォーマンスを評価しなくてはならない。そのため、新たな評価基準も必要になる。

店舗を持つ目的はこれまで以上に、ブランドによって大きく異なったものになっていくだろう。これまではすべてのブランドにとって、大半の店舗の目的は「販売する」ということだった。だが、それは現在、認知度の向上や啓発、体験の提供、娯楽、関係や関連性の構築など、それぞれに異なったものになりつつある。

どのブランドも、何のために店舗を構えるのか、自ら明確にしなければならない。マイクロソフトの決定は、消費者の習慣の変化と、現在の状況を反映したものだ。その他のブランドも今後、同様の決断を下していくだろう。それは、小売業がこれから、かつてないほど複雑な業種になっていくということを意味している。

編集=木内涼子

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