5月のデータはまだ公開されていないが、ロックダウンに加えて天候が良かったこともあり、ブームが継続したものと見られている。自転車協会によると、英国における全ての価格帯の自転車の売上は販売台数ベースで60%増、売上ベースで57%増だった。
「実用的で求めやすい価格の自転車は、人々に強く支持された」と自転車協会のエグゼクティブ・ディレクターのSteve Garidisは声明で述べた。3000ドル以上の高価格帯の自転車の売上は、ブームの中でも低下していた。
パンデミックの発生以前の英国での自転車売上は苦戦気味で、3月の売上は前年比で8%のマイナスだった。3月23日のロックダウンの施行を受けて、業界団体は政府へのロビー活動を開始し、自転車販売店を「必要不可欠なビジネス」に指定し、営業の続行を認めさせることに成功した。
その結果、自転車の売上は急増し、グラント・シャップス交通相は人々に自転車通勤を奨励した。ボリス・ジョンソン首相も、コロナ後の世界が自転車の黄金時代になると発言した。
しかし、自転車協会は高価な電動自転車の売上が伸び悩んでいることに不満を示している。
「電動自転車は一般の自転車以上に便利で、通勤を楽しくする」と自転車協会のGaridisは述べている。売上の伸び悩みの背景には電動自転車の価格が高く、1000ポンド以上もすることがあげられる。
英国政府は電動カーゴバイク(E-cargo bike)の購入促進のため、インセンティブ制度を設けているが、自転車協会は同様のスキームを電動自転車にも導入すべきだと主張している。「1台につき250ポンド程度のインセンティブであっても、販売を大きく伸ばすことが可能だ」とGaridisは主張している。
電動自転車の普及により排気ガスを放出する自動車の利用を削減し、環境に前向きな効果が期待できると彼は述べている。オックスフォード大学の研究チームは、電動自転車がガソリン車を置き換えた場合、二酸化炭素排出量を最大50%削減できるという調査データを開示している。
「ロックダウンの緩和が進む中で、英国政府が改革を行うための時間は残り少なくなりつつある。電動自転車や自転車の利用を促進していくことは、クリーンでエネルギー消費を抑えた交通を実現する上で、必須の取り組みと言える」とGaridisは指摘した。