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新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)により、レストランからのデリバリーであれ自炊であれ、人々の食料調達方法は変化し、食肉処理などのサプライチェーンや配送モデルが抱える脆弱(ぜいじゃく)性が露呈した。またサードパーティーのデリバリー業者については、店側が支払う高額な手数料の問題や、価格設定への批判も出ている。

食料品に関しては、消費者が店舗前での受け取りや自宅への配達に慣れるにつれ、考え方の変化が促されることになる。「新しい生活様式」では、こうしたサービスを利用できる恵まれた人にとって、食料品の購入は商品の質を手に取って確かめられるものから、自分のために誰かがその価値を評価してくれるものへと変わる。(さらに将来的には、食品を選ぶ人がウーバーの運転手のように消費者に評価されるようになるかもしれない)

米誌アトランティックの記事でイアン・ボゴストは「そうだとしても、ウォルマート食料品店での野菜の品ぞろえを、ウォルマートのオンラインサイトがスマホケース販売に使用しているのと同じマス目型スタイルに押し込めると、味気ない上に混乱を招くかもしれない。デジタル店舗というより、自動車の部品のカタログのようなものだ」と述べている。

「食料品を買う人は、アボカドに触ったりカンタロープメロンを振って確かめたりしたいものだ。食料品店をピクセル化された個別の商品に分割すれば、もはや食料品の買い物のように感じられないだろう」(ボゴスト)

ボゴストは、小規模店舗がパンデミック後にコミュニティーのための空間として機能する機会が生まれる可能性も指摘しているが、一方でアマゾンなどの巨大企業によるワンストップ型の巨大ネットワークへの移行という反対方向の変化についても警告している。

パンデミックが食料品分野にもたらしたもう一つの興味深い影響は、店舗を完全になくし消費者に直接販売するビジネスモデルの台頭だ。これは、パンデミック初期に缶詰や常温保存品などの買いだめが続出したことで容易となった。企業は割高なプロダクトプレースメントを使って市場シェア獲得を目指す代わりに、自社のウェブサイトや配送を通じて買い物客の思考に関する情報を得られるほか、消費者と直接やり取りもできる。

米食品大手のクラフト・ハインツで英国のeコマース責任者を務めるジャンフィリップ・ニエはカナダ紙ファイナンシャル・ポストに対し、「これは私たちにとって新しいものだが、私は得られるデータに感激している」と述べた。パンデミックによりこうした行動やデータ点が変化する中、企業はこの情報を活用することができる。

例えばペプシコが新たに開設した「PantryShop.com」や「snacks.com」のウェブサイトでは、主な常温食品や運動関連食品を一人用・家族用のパッケージとして販売している。snacks.comでは、チートスやファニオンといった菓子の自分だけのコレクションを作り、自宅に届けてもらうことができる。

さらなるデータが明らかになるにつれ、消費者がパンデミック下で宅配と買い物代行サービスの便利さに適応してきたことが分かってきている。米コンサルティング企業ベイン・アンド・カンパニーによると、コロナ流行前の米食料品販売のうちネットを通じたものはわずか3~4%だった。だが同社のパートナーであるスティーブ・ケインは米CNBCテレビに対し、今後これが5~10%に増える可能性があると述べた。そうなるころまでに食料品店がどんな形に変化しているかは、誰にも分からない。

編集=遠藤宗生

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