ショッピングセンターのビジネスモデルが脅かされていることは、長年、知られてきた。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって、ショッピングセンターの終焉がいよいよはっきりしてきた。実際、それはコロナ禍によって加速してきている。
この傾向は反転しそうにない。多くの人が集まる屋内の場所に赴くというのは、現時点で、わたしたちが普通にすることのようには思えない。むしろ、普通はしないと言ったほうがよいだろう。
こうしたなか、英国でショッピングセンター17カ所を運営するイントゥ・プロパティーズは、43億ポンド(約5700億円)にのぼる債務を抱え、深刻な経営難に陥っている(編集注:同社は26日、破産を申請した)。イントゥの財務状態は以前からあまり良くなかったが、パンデミックを理由にテナントが賃料の支払いを拒んだため、一段と悪化することになった。
企業による顧客とのエンゲージメント(関わり合い)やつながりでは、ソーシャルメディアが大きな力をもつようになったが、いまだにその力を十分に生かせていない企業が多い。とくにショッピングセンター業界ではその傾向が顕著だ。今のように、人々が物理的に店を訪れることができない時期は、ショッピングセンターにも人々とデジタルに関わり、つながるチャンスがあったし、そうすれば再開したときに人々に足を運んでもらいやすくなっていただろう。
ところが、今のような状況だからと言うべきか、それとも、今のような状況にもかかわらずと言うべきか、ショッピングセンターというあり方への人々の愛情が冷めてしまったようにも思える。
「メイビー」のデータによると、ショッピングセンター側は、単純に言って消費者と関わっていない。そのせいで、ショッピングセンターとわたしたちの関係の全体がじつに味気なく、冷え切ったものになってしまっている。本来は、ショッピングセンターにとって、今ほど客側とつながっておくべき時期はないはずなのに。