パンデミックが世界を襲う中、ゲイツとメリンダの2人はこの病に対処するワクチンや治療法を探る試みを続けている。そして、世界の国々に平等にワクチンが行き渡ることを目指している。
これまでポリオやエボラ出血熱など、様々な疫病のへの取り組みを行ってきた2人は今、米国が欧州などの諸国から大きく遅れをとっていることに頭を悩ませている。
「米国は普通であれば、世界が抱える問題を率先して解決しようとする国だった。つまり、WHOから撤退するのではなく、自ら進んでそこに参加し、他の諸国と連携して物事の解決にあたるのが、この国の姿勢だったのだ。しかし、現在のアメリカは奇妙な状況にあり、内側にこもっている」と、ゲイツは今年初めてオンライン開催となった9回目のイベントでで話した。
「私たちは様々な国の活動をつないでいきたい。欧州の国のリーダーらが隙間を埋めようとしているように」と、マイクロソフトの共同創業者はオンラインに集結した200人以上の慈善活動家たちに話し始めた。
「米国の何もしないという態度は、これまでの国際関係を損なうし、人々がこの国に寄せる信頼を揺るがすことになる」とゲイツは述べた。彼は天然痘やポリオの根絶にWHOが果たした役割にふれつつ、「理性ある行動が、いつか復活するはずだ」と述べた。そして、米国がこの先、他の国と手を組んで危機に対応していくことを望みたいと話した。
人類がコロナウイルスの危機から脱するのは、人々の大多数が免疫を獲得して以降になる見通しだが、ゲイツは3つのワクチン候補の初期のテスト結果から、将来を楽観できると述べた。3つの候補とはモデルナやアストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソンらが開発した薬品を指している。
しかし、本当の難題はワクチンを完成させて以降の、製造や流通にあるという。なぜなら、人類を危機から救うためには、世界人口の80%が集団免疫を獲得することが条件とされ、そのためには最低100億回分のワクチンを用意し、1人が2回摂取する必要があるからだ。