予想以上の長生きでお金が尽きた そんな事態に陥らないためにいまからしておくべきこと

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想定外の長生きには保険を使う


そういう話をすると、「自分はそれほど長生きしないだろう」という反応をされることもあるが、その予想はおおかた外れてしまう。

幼いころに亡くなる率も含めて算出しているのが「平均寿命」だから、多くの人が亡くなる「ピークの年齢」は、当然に平均寿命よりも高くなる。

現時点の試算では、一般的な人が普通に亡くなる年齢(死亡率のピーク)は、男性86歳、女性92歳で、いずれも「平均寿命」より5年以上長生きする人が圧倒的に多い。


10万人の出生児が生命表の年齢別死亡率にしたがって死亡するとした場合。厚生労働省「平成27年簡易生命表の概況」から計算
出所:太陽生命パンフレット

驚くべきことに、約5人に1人が、男性であれば91歳まで、女性なら96歳まで生きるというのが現時点での推計だ。今後、さらに平均寿命が延びるとすると、この数字も上がっていくことになる。

考えたくないことかもしれないが、長生きしてしまうことを前提で物事を考えておかないと、いつか誰かに迷惑をかけてしまうかもしれない。

そんなことをモヤモヤと考えていたとき、あるホームが「月額利用料サポートプラン」なるものを導入したことを耳にした。

これは、前もって一括で保険料を払っておくと、所定の年齢に達した以降は、契約した額のお金を、毎月、一生涯にわたって受け取れるようになるというものだ。ちょうど預貯金の枯渇が心配になる頃から、毎月ずっと一定額を受け取れるなら、ホームへの利用料支払いもラクになって、安心してそのまま住み続けられる。

入居者の家族を対象とした意識調査と直接インタビューから商品化したプランだそうで、資金面でやむなく退居するケースを避けたいというホームからの要望を受けて、保険会社が商品化したという。

ただ、残念なことに、こうしたプランを導入しているホームは、現在、まだごくわずかで限られている。

だが、同じような仕組みを自前で備えることはできる。それは、「終身年金保険」を使う手だ。月額利用料サポートプランはざっくり言えば、終身年金を団体扱いで割安に提供したものだから、それに近いプランはできるはずだ。
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文=竹下さくら

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