【考察】夏の高校野球・甲子園は開催するべきだったか

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今年の高校野球は、春の選抜大会に続いて、夏の甲子園大会も中止になった。
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高校野球界そして何より球児たちへの大きな影響が考えられる中、今後はどういった「救済案」が考えられるのか?

野球評論家でピッチングデザイナーの「お股ニキ」氏は、素人ながらあのダルビッシュ有にアドバイスを求められることで知られ、そのツイッターアカウントは2万5000人以上のスポーツ好きにフォローされる。

中でも、そのダルビッシュ有選手に教えた魔球「お股ツーシーム」(「今は少し縦回転が強くなっているから、横の変化が小さくて縦に落ちている。回転の角度を横回転にすればもっと曲がる」とツイッターで助言した)が実際の試合で投じられたことは大きな話題となった。また、初の著書、光文社から刊行した『セイバーメトリクスの落とし穴』も大好評だ。
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「本がすき。」では、お股氏ツイッターアカウントのフォロワー、ゴジキ氏(@godziki_55)に依頼し、この夏の甲子園大会中止をどう考えるのか寄稿してもらった。


学生・アマスポーツ界の主役である高校野球だからこそ開催へと動くべきだった


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新型コロナウイルスの影響により、同じく学生の部活動の晴れ舞台であるインターハイは、既に開催中止を決めていた。高校野球もそれに続く形で、5月20日に中止が決まった。

ただし野球の場合は、他の競技(インターハイ)のようにすぐに大会中止ではなく、開催を前提とした上で、無観客試合を含む様々な案で進んでいた。センバツに引き続いてのことである。

結果的には中止になってしまったが、大会の開催を前提に動けた一番の要因は、やはり長い歴史や文化から構築された人気の高さやブランド力・コンテンツ力があるからではないだろうか。

高校野球の立ち位置は、「教育の一環」の「部活動」だが、毎年大多数のお客さんを集める人気イベントでもある。特に夏の大会期間中はプロスポーツを差し置いてスポーツニュースのメインを飾るくらい、学生のスポーツという括りを超えた存在だ。これまでの歴史で構築されてきた「夏」=「甲子園」=「高校野球」というイメージが持つ力も強い。

地上波のバラエティ番組で特番が放送される背景には「アマチュアスポーツ」では異例の人気があり、スポンサーの後押しも強い。

高校野球はコンテンツとして強い魅力を持つ。県大会の予選から甲子園出場~優勝までの各校のストーリー性、一発勝負のトーナメントの儚さ、意外性があるプレー、高校時代という青春への共感、ヒーローの誕生など数えきれない要素によって、老若男女問わず感動を与えてきたことは間違いない。

学生スポーツやアマチュアスポーツというカテゴリーにおいて、高校野球の「ヒト・モノ・カネ・情報」を大きく動かすブランド力やコンテンツ力は群を抜いている。

現状、メディアを通して日本中が「自粛ムード」であることも関係して、他のイベントや大会が「開催」にこぎつけた前例はない。そのような段階で、世間の動向から外れたマイノリティとなれば、多かれ少なかれ確実にバッシングが起きる。

世間がイベントに対して自粛ムードを抱く中、賛否が分かれると予測はつく。だがそれでも、様々な対策を行いながら夏の大会を開催していくべきだったと考える。なぜなら、タイミング的にも、また先述した「高校野球」が学生スポーツやアマチュアスポーツに与える影響力を考えても、他競技に対して模範となる形で先陣を切る必要があったからだ。

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もし現状の変化に応じて、高野連含む高校野球全体が積極的な対策を行いつつ大会が開催されたら、今後の開催の可否が不透明な他競技のスポーツ大会や他のカテゴリーのイベントにも良い影響を与えることができ、相乗効果が見込めたのではないだろうか。個人的には、甲子園が「屋外球場」だという点も踏まえて、開催をして欲しかった。

高野連のように他競技に対しても影響力のある協会や団体が率先して様々な最善策を獲りつつ、プラス方向(≒開催)へと動くことは非常に重要である。これはスポーツ界に限らず、様々なカテゴリーや局面、例えばビジネスにおいても共通することだろう。

その行動が早ければ早いほど、後に続く者たちも対応できる可能性は高くなる。今回のように国内全体の雰囲気が暗くなっている状況下で、いかに早く策を打って前向きに行動して空気感を打開していけるかは、今後の鍵になっていくだろう。
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