グーグルは優れたコンテンツの提供の見返りとして、パブリッシャーに対価を支払う。また、パブリッシャーが課金コンテンツとして提供しているコンテンツを、グーグルのサービスで無料公開する際に、ライセンス料を支払うと述べている。ここで言うサービスとは、Google NewsやGoogle Discoverを意味するという。
グーグルはまず、オーストラリアやブラジル、ドイツのメディア企業と今回の試みを開始し、その他の企業との提携も進めていくという。
グーグルのニュース部門のバイスプレジデントのBrad Benderは6月25日の公式ブログで、「当社は、パブリッシャーのコンテンツに対価を支払うプログラムを立ち上げ、年内に始動する新たなニュースエクスペリエンスに向けた準備を進めていく」と宣言した。
「このプログラムは、これまでに無いエクスペリエンスにコンテンツ提供を行うパブリッシャーのマネタイズを支援していくものだ。グーグルは新たなニュースエクスペリエンスを利用者に提供し、人々をストーリーに引き込み、様々な事柄にふれる機会を与えていく」とBenderは述べた。
初期の参加パブリッシャーとして名が挙げられたのは、ドイツの「デア・シュピーゲル(Der Spiegel)」や「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」「ディー・ツァイト(Die Zeit)」「Rheinische Post」、オーストラリアの「Schwartz Media」や「The Conversation」「Solstice Media」、ブラジルの「Diarios Associados」や「A Gazeta」などだ。
オーストラリアのニュースパブリッシャーのPaul Hamraは「今回のグーグルとの取り組みは、我々に新たな市場へのアクセスや、二次的な利益をもたらすものとなる」と述べた。
グーグルはこれまで長年の間、Google Newsに掲載するコンテンツの使用料を巡り、パブリッシャーや当局と争ってきた。今回のアナウンスは、グーグルにとって大きな譲歩とも受け取れる。
しかし、フランスの公正取引委員会は先日、グーグルに対しコンテンツの対価をメディアに支払うよう命じていた。オーストラリア政府も、グーグルに広告収入を現地メディアとシェアすることを強制しようとしている。
以前であれば、グーグルはそのような命令に対して、ニュースのスニペット(断片)を削除する、もしくはその国でのGoogle Newsのサービスを停止するなどの措置をとっていた。
そしてグーグルは、今でもスニペットに対する対価の支払いを拒む姿勢を貫いている。Benderは次のように述べた。「当社は長い年月をかけてオーディエンスを集め、一カ月に240億回以上もニュースサイトに誘導することで、パブリッシャーのバリューを高め、広告やサブスクリプションで収益を得る機会を与えている」