合衆国商務省傘下のNOAAで、サンゴ礁の再生プログラムを率いるTom Mooreによると、人間のダイバーが水中で作業を行えるのは、1日あたり4時間程度が限界だという。
Mooreは先日のカンファレンスEarthxOceanの場で、現在の状況が続けば、世界のサンゴが今世紀中に絶滅してしまうと述べた。サンゴ礁は海中の生物のエコシステムの25%を支えており、サンゴの絶滅は漁業関係者だけでなく、人類全体に巨大なダメージをもたらすことになる。
サンゴの修復作業はこれまで、ダイバーたちの手作業によって行われてきたが、今後はロボットやAI(人工知能)のパワーを活用すべきだとMooreは述べている。
「新たなテクノロジーの導入はすぐには進まないだろう。しかし、我々は今から開発を進め、危機に対応していく必要がある。既に存在するテクノロジーを、いかに活用できるかを探っていくべきだ」と彼は話した。
Mooreが目をつけたテクノロジーの一つは、海底油田の開発に用いられる水中ドローンだ。これらのドローンは重厚な機器を備え、深海で活用されているが、サンゴ礁の修復に用いるためには仕様の変更が必要になる。
既に深海生物の探査に用いられているAIも、サンゴ礁の調査での活用が期待されるという。「既に存在するテクノロジーを、特定の用途に合うようにカスタマイズする必要がある」とMooreは話した。
「サンゴ礁の再生に向けては、非常に込み入ったタスクをこなす必要がある。水中ロボットを正確にナビゲーションする技術が求められ、AIを用いて正確なオペレーションを行わねばならない」
NOAAはイノベーションコンテストを開催し、優れたアイデアを募る計画だという。
「既存のテクノロジーを有効活用すれば、サンゴ礁を危機から救い出せるはずだ。解決すべき課題は巨大なものだが、これは人類がなんとしてでも達成しなければならないゴールなのだ」とMooreは話した。