そのうちのいくつかの違反は、不当なものだと彼は考えている。ブラーダーは「DoNotPay(罰金を払うな)」というサービスを考案し、瞬く間に5万人のユーザーを獲得した。
彼が立ち上げた企業DoNotPayは先日、1200万ドル(約13億円)の資金をシリーズAラウンドで調達した。Coatueが主導した今回の調達で同社の評価額は8000万ドルとされ、アンドリーセン・ホロウィッツやFounders Fund、Felicis Venturesも出資に参加した。
これらのベンチャーキャピタルは前回のシードラウンドにも参加し、合計460万ドルを出資していた。
ブラーダーはDoNotPayが「世界で初めてのロボット弁護士サービス」だと述べており、駐車違反に限らず、様々な消費者の権利を守るものだと主張する。
現在24歳の彼は、「航空会社はキャンセル便の利用者に対しお金を払わず、ポイントでごまかそうとしている」と語る。DoNotPayは、航空便のキャンセルや、サブスクリプションサービスの停止に直面した消費者が、企業を訴える際に力を発揮する。
自動化された弁護士サービスを用いることで、消費者は大金を払わなくても企業を訴えられる。銀行による手数料の取り過ぎを訴える場合にもDoNotPayは有効だという。
新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、大手フィットネスクラブの「24 Hour Fitness」が破産宣告を行った際には、1日で1000人がDoNotPayから、払い戻しの申請を行ったという。
ブラーダーによると、DoNotPay経由の訴訟件数は先日、100万件を達成したという。同社は既に損益分岐点に達し、米国と英国でサービスを展開中だ。
DoNotPayの利用にあたって必要なのは3ドルの月額費用のみで成功報酬はゼロで、広告も表示されない。ブラーダーは弁護士資格を持たないが、DoNotPayはアメリカ法曹協会(ABA)の推薦プロダクトに認定済みだ。
ブラーダーによるとDoNotPayの使命は、政府や大企業による搾取から人々を守ることだという。彼の考えではフォーチュン500に選ばれるような大企業のビジネス戦略は、可能な限り消費者を痛めつけるものだという。
「僕らがやろうとしているのは、普通の人々に、大企業と互角に戦うための法的ツールを提供していくことだ」とブラーダーは話した。
2017年当時、21歳だったブラーダーはフォーブスの「30アンダー30」の欧州部門に選出された。現在サンフランシスコに本拠を構えるDoNotPayは8人の社員を雇い、累計の資金調達額は1660万ドルに達している。