Close RECOMMEND

世界を目指す「社内発イノベーション」事例


ではBXにはどのような人材を配置するのが適切か? 筆者としては新規事業チームと既存事業チームの混合を推薦したい。BXの立ち上げにはスタートアップ的なマインドと手法が欠かせない。新しい取り組みに果敢に挑戦し、短期間でアジャストすることが求められるからだ。既存事業が抱える課題を既存事業チームが伝え、形にしていくソリューション型の戦略とも言える。

これまで(先ほどの図の)3階で行っていたスタートアップとの広い意味での協業も、2階向けにアレンジもできるだろう。領域を絞り、より本業に近いテーマで比較的短期間に成果が出るようなオープンイノベーションを活用するのも得策だ。スタートアップとのマッチングや目利き、事業化に不安を覚える場合には、弊社のような支援企業に相談するのもひとつの手だ。

2階のBX着手と並行し、1階の既存事業の立て直しとしてどのようなことが考えられるだろうか。ひとつは事業部ごとの部分戦略を横断しての全体最適化、もうひとつは「BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の掛け合わせを提案したい。

前者に関しては、これまでは部分最適になってしまっていたものがないか、またそうなっていた場合の改革のきっかけとして、昨今の状況を理由に社内をまとめて一気に進めていく。後者はこれまでの業務や体制を大幅に見直し、デジタルを投資対効果高く存分に活用することで収益性向上を最速で進められるポイントでもある。

「デジタル」に重きをおくと、テクノロジーやツール、手法論が先行してしまうため、あくまで「トランスフォーメーション」を趣旨に目的やゴールに合わせて、手段としてデジタル化を推進していくイメージだ。この辺りは2階部分のビジネストランスフォーメーション領域とも隣接しており、一体として進めていく。


(c)Adobe Stock

ここまで整ったら、3階に着手だ。完全に新しい事業であり、土地勘のある領域ではないため、単独での進出ではなく外部とのパートナーシップが必要になったり、勝機を予測することが難しかったりと難易度は高い。ここで同時に多数の事業を推進するとリソースの分散にもつながるため、一定の上限を定めたうえで、既存ビジネスに縛られることなく自由度をもって新たな市場を狙いにいく。そこまでの余裕がない場合には、1階と2階部分のみに戦域をとどめておくのも一案だ。

全ては風土醸成・人材育成・事業開発につながる


これまで大手企業の新規事業の立ち上げを、事業開発・風土醸成・人材育成の3つの側面から支援してきたが、いま、2階部分においてはそんな悠長なことは言っていられない。小さくても良いのですぐに成果を出すことが死活問題として重要なのだ。

少々荒っぽい手法ではあるが、そうして成果のみにフォーカスし、死に物狂いで活動のサイクルを回すことが、結果的に3階の目的として掲げていた風土醸成・人材育成・事業開発に寄与することは間違いない。1階部分が世の中の大きな変化の波とリスクにさらされている今、3階を見据えた2階部分のビルドアップが優先される。

2階部分を中心にビジネストランスフォーメーションを行うことは、自社の状況を冷静に捉え、現場レベルから市場と直接向き合うことでもある。それによって、会社の土台となるビジョン・ミッション・バリューのさらなる確立と浸透のための絶好の機会になることも付け加えたい。

文=木村忠昭

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい