世界を目指す「社内発イノベーション」事例

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「それどころじゃないですよ」。コロナ禍でアポの延期が続いていたクライアントから、ため息混じりの声が発せられた。

弊社アドライトは、大手企業を中心としたイノベーション創造や新規事業の開発支援を行っている。今年4月からは、接点のある企業へのヒアリングやオンラインでの無料相談、さらにアンケートやオンラインイベント等でその実情を探ってきた。

予定していた新規事業の立ち上げを継続するという企業もあるが、それよりよく聞かれたのが、冒頭のような声だ。今期予定していた個々の施策や取り組みの前に、本体事業のテコ入れや成長戦略の再策定が必要だという。

既存の事業領域で、手法を新しく


仮に新型コロナウイルスのみを原因に現状を憂慮する経営者がいるとするならば、世の中の大きな潮流や時代の先読みにアンテナを張ることを怠っていた可能性は否定できない。テレワークを導入して移動や会議の生産性を高める取り組みは、一部の企業では取り入れられていた。

安泰の既存事業が緩やかにシュリンクしていく一方で、新しい柱を立てる猶予もない。既存事業の見直しとともに新しい環境への適用を余儀なくされている今、構造改革、すなわちビジネスモデルの変革が今なのだ。

しかし、「これまでのやり方は通用しない」と口を揃えて危機感をあらわにしつつも、有効な手立てがないのが実状だ。

新規事業の予算を既存事業に投下し、なんとか立て直しを図ろうと躍起になる前に検討したいのが、図の2階にあたる「ビジネストランスフォーメーション(以降、BX)」だ。自社のアセットを生かしつつ3階部分の新規領域における手法やアプロ―チも取り入れる、ハイブリッドな展開が見込める戦略である。


事業のトランスフォーメーションマップ(筆者作成)

既存事業の見直しによる収益性向上を狙うBX領域では、既存事業を成長に導く施策を複数練り、実現可能性を検討、確度の高いものから順に施策を打ってPDCAを回していく。ここでの施策案は様々な社内の取り組みで検討・検証されているものになるが、それらを一気に進めていくイメージだ。

通常の既存事業の進め方と同じようにもみえるが、環境が大きく変わる今、これまでの前提やプロセスが通用しない場合も多く、考え方自体はゼロベースでスピード感をもったトライアンドエラーが必要になる。事業領域は既存だが、手法論は新規で考えていく形だ。

文=木村忠昭

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