大手クルーズ船運航各社が運航停止延長を決定、株価も下落

業界最大手のカーニバル・クルーズ・ライン(Getty Images)

ロックダウン後の経済再開をめぐる楽観ムードのなかで、クルーズ船運航各社の株価も一時回復を見せていた。しかし、クルーズ船業界は依然、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で当面は身動きできない状態だ。大手クルーズ船運航各社は四半期決算で巨額の損失計上を余儀なくされ、2020年6月19日には、運航停止期限を延期すると発表した。

クルーズライン国際協会(CLIA)が6月19日に発表したところによると、業界最大手のカーニバル・クルーズ・ライン(Carnival Cruise Lines)、ノルウェージャン・クルーズライン(Norwegian Cruise Line)、ロイヤル・カリビアン・クルーズ(Royal Caribbean Cruises)は、米国各地から出航するクルーズの停止期限を、7月24日から9月15日まで自主的に延期した。7月24日は、米疾病予防管理センター(CDC)が通達を出していた停止期限だった。

新型コロナウイルスのパンデミックによってクルーズ船の運航が停止された結果、最大手3社の株価は2020年に入ってからこれまでに、55%から70%ほど急落していた。

世界最大手カーニバルは6月18日、四半期決算で44億ドルの損失を発表した。売上は、前年同期比で85%減の7億ドルだった。

カーニバルによれば、2020年後半のバーンレート(資金燃焼率)は毎月6億5000万ドルになる見込みだ。しかし、同社には5月31日現在で76億ドルの流動性があるため、運航を再開しなくとも翌年まで生き延びる体力がある。

散々な内容となった決算は、新型コロナウイルスのパンデミックがクルーズ業界にいかに大きな打撃を与えたかを示す一例だ。CDCからの命令で、3月14日以降、大手クルーズ船運航各社が所有するクルーズ船はすべて運航停止となっている(3月14日に30日間の運航停止が通達されたあと、4月9日に改めて「運航停止を少なくとも100日間延長」と通達された)。

クルーズ船運航会社の株価は、6月17日に軒並み急落した。これは、ノルウェージャン・クルーズラインが他社に先駆けて運航停止を2か月延長し、少なくとも10月1日までの全クルーズをキャンセルしたことを受けた動きだ。

それでも、大手クルーズ船運航各社は、ロックダウンが解除されれば顧客が大挙して戻ってくると期待している。カーニバル、ロイヤル・カリビアン、ノルウェージャンの各社は、2021年出航予定のクルーズに対する需要と予約状況は引き続き好調だと述べた。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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