コロナ再拡大の米、ロックダウンの判断は「病院の対応能力」が鍵

フロリダ州マイアミビーチ(Photo by Scott McIntyre/For The Washington Post via Getty Images)

米国で新型コロナウイルスの感染が再び拡大するなか、ゴールドマン・サックスは、州などによるロックダウン(封鎖措置)再導入の判断を最も左右するのは、感染者数ではなく病院の対応能力との見方を示している。ただ、「各州にとって再度のロックダウンはおそらくハードルが高い」としている。

米ジョンズ・ホプキンズ大学のデータによると、26州で新型コロナウイルスの感染者が増えている(23日現在)。国民の間では、これらの州では経済の再開が早すぎたのではないかという点が議論の的になっている。

ゴールドマンのアナリストらは最新の分析で、全米のウイルス拡大状況を把握するうえでは、検査の動向次第で変動する検査結果よりも、病院のデータのほうが信頼できるとも指摘した。

ゴールドマンのチームは、現時点でどの州が連邦政府による経済再開の基準を満たしているかを調査した。基準は「症状がみられる人が減っている」「新規感染者が減っている」「検査の陽性率が低くなっている」「病院の集中治療室(ICU)に余裕がある」という4つだ。

チームによると、19州はこれら4つの基準をすべて満たしており、それには東部のニューヨークやニュージャージーなどホットスポットだった州もいくつか含まれる。ほとんどの州は4つのうち3つの基準は満たしており、1つも満たしていないのは南部のアリゾナとアラバマの2州だけだった。

ただ、ここ数日で、両州だけでなく西部のカリフォルニア、南部のテキサス、フロリダといった州でも感染者数が急増している。フロリダでは15日から20日の6日間のうち4日間で新規感染者が最多を更新しており、パンデミック(世界的大流行)が始まって以降の累計感染者数は10万人を超えている。

フロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)は新規感染者の増加について、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)のガイドラインに従わなかった結果なのは「明らか」だと述べている。

新規感染者が増えるなか、アリゾナなど一部の州はなお再開計画を進めているが、東部のメーン、西部のオレゴン、中西部のカンザスといった州は再び制限の強化に動いている。

編集=江戸伸禎

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