封鎖解除のアムステルダム、観光客急増を警戒 ホテル閉鎖も

Photo by Tim Graham/Getty Images

アムステルダム市民の多くは、同市が人気観光地ゆえに受ける悪影響について懸念している。フェンケ・ハルセマ市長は先月、新型コロナウイルス流行による封鎖措置が解除されても、観光客の受け入れ再開に対しては「非常に慎重になる」べきだと警告した。

英語メディアのダッチ・ニュース(Dutch News)によると、アムステルダム市議会は既にオランダ政府に対し、観光客流入を抑えるために必要ならばホテルの宿泊客受け入れ可能人数を制限することを含む緊急対策を要請した。

アムステルダム市議会に観光客数の制限を求める請願に署名した人の数は3万人に近づいている。主な要求は、観光客の宿泊日数を2014年当時の水準である年間1200万泊に制限することだ。新型コロナ危機が起きる前、アムステルダム市の1日の訪問者は推定120万人で、同市の人口約82万人を大きく上回っていた。

署名活動の発起人はオランダ紙ヘット・パロールに対し、「観光客が新型コロナ危機前の水準まで増えれば、経済や街が再び観光客に支配される」と述べた。同市が観光客でごった返すようになった場合、住民が公共スペースで1.5メートルの対人距離を維持できるかどうかが問題となる。

オランダは3カ月にわたる「インテリジェント・ロックダウン」をへて、今月15日に国外からの観光客受け入れを再開した。マルク・ルッテ首相は、同国初の感染者が確認された2週間後の3月12日、国民に対し、できる限り在宅勤務をするよう要請したが、強制はしなかった。住民は必要に応じて外出を許されたが、公共の場所ではマスクを付けたり対人距離確保の指針に従ったりと、責任を持った行動を求められた。

オランダの新型コロナ対策はほぼ全ての面で成功を収めた。人口1700万人に対し、感染者は5万人弱、死者は6000人余りにとどまっている。

編集=遠藤宗生

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