ジョギングと「断崖からパラシュート」 統計リスクで比較してみた

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2万850回のうち死者9人。リスクの単位「マイクロモート」では?


ウイングスーツを着用せずにパラシュートのみで挑むのが、ベースジャンプだ。ノルウェーのシェラーグ地塊は安全な離陸ポイントの一つとされており、11年にわたって行われたジャンプの回数は2万850回。そのうち死亡者は9人、致命的ではない事故に遭ったのは82人とされている。

書籍『もうダメかも 死ぬ確率の統計学』では、100万分の1の確率の死亡と定義されるリスクの単位「マイクロモート」を用いて、その確率を表現している(1マイクロモートは、小惑星に衝突されて死亡する確率とほぼ同等)。シェラーグ地塊でのベースジャンプは約430マイクロモートとなる。

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一方で登山はどうだろう。1990年から2006年の16年の間に、8000m級のヒマラヤ山脈に登ったのは約2万人。そのうち亡くなった人は238人とされており、これは1登山当たり約1万2000マイクロモートにあたるとされており、「このレベルの登山は第二次世界大戦中の空爆の出撃より危険で、平均急性リスク約117年分に等しい」と同書で指摘されている。また、「意外かもしれないが、とびきり高い山を登るよりもどこかの山から飛び降りる方が危険度は低い」とも。

スキューバダイビングはどうか。3万5000人の会員を抱えるBSAC(British Sub-Aqua Club)では1998年から2009年の12年の間に、197人が死亡したとされている。その間、約3000万ダイブがされたと推定されるようで、これをみると約8マイクロモートと、前出の2つと比較すると安全な気になる。

意外に危険、マラソンは330万人のうち26人が「死」


最後に最も身近なランニング、ジョギングについて。1975年から2004年の間で、アメリカでマラソンを走った330万人のうち、26人が突然死したという。これは1マラソンあたり平均約7マイクロモート。今回のコラムだと少なく感じはするものの、裏を返すとリスクは決してゼロではない。コロナの影響で、ウォーキングやランニングを始めた人は少なくないが、やはり細心の注意をはらって楽しむことが大事だと言えよう。

ウォーキングやジョギングなど、きわめて「身近」なスポーツにも意外なリスクは存在するようだ。

文=上沼 祐樹 編集=石井 節子

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