昨年開催された第1回は、世界10都市のリアルなイベントをオンラインでつなぐというリアルとオンライン融合型のイベントの形をとったが、今年はCOVID-19の影響もあり、全編オンラインで配信。一方でアントレプレナー、インベスター、インフルエンサー・トラックという3つの舞台をオンライン上に用意して同時並行でセッションが行われ、また「ラウンジ」と呼ばれる仮想ネットワーキングの部屋を設けるという、実際のカンファレンスさながらの規模と構成で開催。「Hopln」という名のプラットフォームを利用して15時間にわたって行われた。
主催者によると、最終的には世界13都市から74のスタートアップがピッチを行い、21カ国から約1800人が視聴登録をした。
オープニング・トークで、主催者でシリコンバレーの女性起業家向けアクセラレーター「Women’s Startup Lab」を運営する堀江愛利は、自身のアメリカでのカンファレンスやミーティングでの体験に触れながら「女性であるために、男性に比べて注目を浴びられない、重要視されない」と話し、ネットワークやつながり、仲間づくりを強めることで「女性起業家の可能性を高めたい」と語った。
ゲストスピーカーには、ペイパルやリンクトインの共同創業者で著名VCのリード・ホフマン、台湾のデジタル大臣オードリー・タンほか、世界の社会イノベーションを前進させるキー・プレイヤーが参加。ホフマンは「才能は均等に配分されている」と女性をサポートする動機を語り、「ネットワーキングと関係性の構築にエネルギーを投下すべき」とアドバイスした。タンは台湾で毎年開かれ、多くの女性起業家が参加し、海外の起業家も参加できる「総統ハッカソン」を紹介(受賞者には、以後1年間、大統領府により、政策に実装されることが約束される)。
昨年は、終末ケアの知識や技術、資材を離島も含めた各地方の在宅の家族や患者に共有するテレヘルスのアイデア「Rounding Team」が受賞。「このことについてはいつまでも語っていられる」と熱く語った。
グレイロック・パートナーズのリード・ホフマン(左)
台湾デジタル大臣のオードリー・タン
さらに、「Black Founders Rising」のセッションでは、アフリカ系の女性たちによる力強いピッチが実施されたほか、アジアの国々ではタイ、ベトナムが今年初参加した。
日本からはシリコンバレーで「空飛ぶ車」に挑むNFT社のカプリンスキー真紀がゲストスピーカーとして、インベスター・トラックではゴールドマン・サックスのキャシー松井、ジェトロの曽根一朗、Strolyの高橋真知らが、台湾、韓国、タイなどの起業家とともにセッションに参加。スタートアップにとって魅力的な、アジアの国々の国境を越えたビジネスチャンスについて語った。
「Black Founder Rising」のセッション
Strolyの高橋はイベント後「グローバルで活動することで、小さくなった視野が開かれる。自分の起業している分野の海外の仲間づくりはおすすめ。ピッチ『コンテスト』だと競合して仲良くなれないので『コンテスト』ではない、このような仲間づくりの機会は貴重」とコメントした。
多くのボランティアと世界13都市のチャプター・リーダーたちの協力によって運営されたイベント。前述のWomen’s Startup Labの堀江は「多くのネットワーキング、仲間づくり、より力強い自信を持ってもらうことにつながった。今まさに起業家たちに、新しいチャンスが広がっていると思う。やってよかった」と総括した。
女性起業家たちの連帯によって推し進められる、より良い世界をつくるためのイノベーションは、今後ますます加速しそうだ。