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2020.07.02

世の中はバグで溢れている。その「欠陥除去」からヒットが生まれる

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360°設計で人気のベビーカーも、発想は「バグとり」


村田が携わった仕事の一つに、ベビーカーのアップリカがある。「行為のデザイン」のワークショップから企画を導き出した案件だ。ベビーカーに関するバグとはどういう点があるだろう。

・ベビーカー購入の多くは祖父母のため、機能POPが横文字ばかりだと伝わりにくい

・赤ちゃんと親では地面からの距離が違う。夏場はアスファルトが70度を超えることも

・一方で座面を高く設定しても不安定になり転倒事故の可能性も

・欧米式デザインだと日本の公共交通機関でほぼ使えない

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Getty Images

上記は一部だが、多くのバグが発見されたという。こういったバグを可視化し、そこからデザインワークへと進み、そして最終的に誕生したのが360°設計で人気のベビーカーの「Optia(オプティア)」だ。

デジタルトランスメーションという言葉が一般化しつつあるいま、多くの企業がテクノロジーを使って事業の改善をはかっている。POSデータの解析などを導入して、売り上げ向上や経費削減を進める企業も少なくない。当然これらも必要な部分ではあるのだが、どのように「問いを立てるのか」も忘れてはいけない。過去のデータが未来に生かされない、といったバグだけは避けたいところだ。

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村田 智明著『バグトリデザイン 事例で学ぶ「行為のデザイン」思考』


上沼祐樹◎編集者、メディアプロデューサー。KADOKAWAでの雑誌編集をはじめ、ミクシィでニュース編集、朝日新聞本社メディアラボで新規事業などに関わる。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科を修了(MBA)し、大学で編集学について教えることも。フットサル関西施設選手権でベスト5(2000年)、サッカー大阪府総合大会で茨木市選抜として優勝(2016年)。

文=上沼 祐樹 編集=石井 節子

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