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2020.06.25 07:30

1.2億件の特許を学習 数秒で類似特許を発見するAIデータプラットフォームが生まれるまで

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毎年、グローバルで300万件以上出願されている「特許」。しかし、特許の管理や検索、申請に関わる技術は高度化し、フローは複雑さが増している。

多くの国にまたがる国際出願が標準化する中で、発明者や弁理士がグローバルに特許の存在を調査する作業は藁の山から1本の針を探すよりも困難な作業と言われており、プロのサーチャーでも一件の調査に数日〜数カ月を要する、と言われている状況だ。

そうした特許検索における課題を解決すべく、先日、正式版がリリースされたサービスがAI特許調査プラットフォーム「Amplified(アンプリファイド)」だ。

同サービスは世界中の1億件以上の特許をディープラーニングで学習したAIが、入力される文章に対して即時に類似特許を発見する、というもの。これまで数日〜数カ月かかっていた先行技術調査が約30〜60分以内に短縮されるとのこと。料金は「Pay-Per-Projectプラン」が調査1件で2万円(都度払い)、Professionalプランが毎月30件までの調査プロジェクトを含めて1ユーザーあたり5万円(毎月払い)となっている。



Amplifiedを手がける「amplified ai」のサムエル・デイビスCEOは正式版リリースの経緯について、このように語る。

「Amplifiedは2019年11月にプライベート版を公開し、これまでに世界28の国と地域で、約600ユーザーがサインアップし、計2200件におよぶ実際の調査を行いました。この調査の結果、専門家らの手によって、これまで人間が膨大な時間を費やし、抽出していたものと同じ結果がAIによって短時間で得られることが実証されました。それを踏まえ、今回インターフェースを大幅に刷新し、調査速度をさらに高速化した正式版のリリースに至りました」

実際、正式版のリリースにあたり、高精度AIによる検索式不要の調査に加え、インターフェースを大幅刷新、明細書作成ツールとしての側面が強化されている。今後は、より多くの言語への対応、AI性能の更なる向上、特許調査に関連する作業へのAIオートメーションの適応、特許以外のデータの搭載などを進めていくという。

3年の時を経て、3人で創業


「amplified ai」の創業は2017年2月。CEOのサムエルは米国最大手の特許調査会社に勤務しており、日常の業務を通じて、顧客企業や特許庁が特許調査に膨大なお金と時間を費やしている姿を見ており、そこに大きな課題を感じていた。

「たった数件の文献を見つけるために、博士号保有者が何日も何時間も、同じ作業を繰り返している。これは深刻な問題だな、と思っていたんです」(サムエル)

そんな課題を抱え、サムエルが2014年にロンドン出張している最中に全くの偶然で、高校時代の友人が後に共同創業するクリストファー・グレンジャーを紹介してくれたという。

彼は自然言語解析や機械学習を用いて特許データを解析する手法を研究していて、2人はワインバーで落ち合い、夜中まで特許制度が抱える課題について議論しあった。
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文=新國翔大

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