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アクセンチュア株式会社 ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ 小田尋美

性別や人種・国籍、職歴・特性・得意分野など、社員それぞれの多様性を活かし競争力を強化していく経営手法であるダイバーシティ経営。詳細な説明は不要なほどビジネス界隈に定着している用語かと思われる。しかし、多種多様な人材を集めることに成功したものの一人ひとりの力を組織として十分に戦力化できていないと感じる雇用者、自分の個性を十分に発揮できていないと感じている被雇用者は少なからず存在する。

個々の多様性を活かしてより良い経済活動を行うという素晴らしきコンセプトであるのになぜ上手くいかないのか。全世界に展開するグローバル企業・アクセンチュアは、多種多様な人材をどう戦力化しているのか、裏側を探るべく話を聞いた。


データサイエンティストから戦略コンサルタントへ転身した理由


大手製薬会社からアクセンチュアに依頼されたデジタルトランスフォーメーション(DX)プロジェクト。アサインされたコンサルタントの中に彼女はいた。小田尋美は大学院を卒業後、データサイエンティストとしてアクセンチュア入社。3年目からはビジネス コンサルティング本部のストラテジーグループ(以下、ストラテジー)に異動し、戦略コンサルタントを務めている。

小田は戦略コンサルタントではあるが、そのバックボーンは、MBA(経営学修士)ホルダーのような一般にイメージされるそれとは異なる。大学院では材料工学の研究に没頭していた。研究室の中、パソコンの中だけでのデータだけでなく、もっと幅広い、人が営む社会全体のデータを見てみたい、その想いでアクセンチュアに入社した。

なぜ、ストラテジーは彼女の異動を受け入れたのであろうか。話を聴くうちに、そこにはアクセンチュアが目指す「ダイバーシティ経営」の核心が潜んでいることを感じた。彼女の足跡を追うことによって“それ”を探れるのではないか。

「数学や物理が好きだった」と学生時代を振り返る小田。ものごとが数字や数式で表され説明できることに興味を持っていたという。大学は当然理系を選択。大学院・修士まで進み、原子レベルでの分析が必要な材料工学の中で人工頭脳、いわゆるAIを使って情報学的なアプローチを活用できないか、研究漬けの毎日を送った。

小田は、研究を重ねるごとに、数字や数式の集合体である“データ”そのものへの興味が深まっていくのを感じた。原子レベルの極めてミクロなデータだけでなく、もっとマクロな人間の活動が作り出すデータ、社会活動が生み出すデータ、それらを見てみたいという想いが募る。そして、博士課程に進むことなく、様々な業界・ビジネスを扱う総合コンサルティング/ITサービス企業、アクセンチュアに飛び込んだ。

2か月間の研修を終えてアサインされたのが小売業のプロジェクト。アパレル企業や大手コンビニエンスストアーチェーンの販売データを分析し、各店舗の品ぞろえや在庫を管理するアルゴリズムを開発するのがミッションだ。先輩に教えられながらも徐々に自分でできることが増えた。「責任が大きな仕事ですが、やりがいを感じました。自分が分析・開発したアルゴリズムに則って発注した商品が自宅近所の店舗に並んだ瞬間には、世界が広がりました。これまでは研究室のパソコンの中だけで完結していましたが、自分の提案したことがこうやって世の中に出ていく、社会につながっていることを実感でき、とても嬉しい思いになりました」と、小田は微笑む。

点在する膨大なデータを統合・分析。大手製薬会社の営業改革を遂行


3年目の春。小田はストラテジーのコンサルタントとなる。実は、入社時からコンサルタントのようなビジネス寄りのキャリアにも興味があった小田。データサイエンティストとして入ったプロジェクトで、ストラテジーのメンバーと関わることがあったため、入社半年で戦略コンサルタントへの転身も視野に入れていた。しかしデータサイエンティストとしての力も着けたく、上司や先輩と相談しながら、キャリアプランを考えていた。結果的に、小田はストラテジーの世界に飛び込むことを決意。以降、データサイエンティストとしてのスキルはコンサルタント・小田としての最大の武器となる。

ストラテジーに移り、小田は大手製薬会社の営業改革のプロジェクトに携わることになった。「このプロジェクトは、新たに事業戦略にデジタルを活用して行くことが目的であり、研究開発部門やマーケティング部門など、全社的な連携が必要になりました。」(小田)



プロジェクトが始まる以前、この大手製薬会社では、売上データ、病院や医師など顧客のデータ、全国の現場から集められる日々の日報データ、自動集計されている活動データなど、膨大なデータがばらばらに点在していた。そのため、貴重なデータにもかかわらず、営業における効果的な活用がきていなかった。

この状況に対して小田は、データサイエンティストの経験を活かして、各データを統合して分析。さらに現状をタイムリーに把握できるようにして、営業部門におけるボトルネックを特定し、最善かつ最も効率的な手法を抽出した。データの統合は、経営陣の意思決定の質とスピードの向上ももたらした。クライアントの役員は想像以上の結果に満足し、小田に賛辞を送った。

データを活用した戦略立案、研究開発部門との連携・・・このプロジェクトにおいて、元データサイエンティストである理系コンサルタントの小田のスキルはいかんなく発揮された。「集計結果だけでは見落としてしまう事象に、実際に自分でデータを分析して気付くことがあります。元データへのアクセス権をもらって自分で分析することもあります」と小田は言う。

戦略コンサルティングからDX導入まで一気通貫で行える強み


さらに、アクセンチュアには戦略コンサルティングからシステム構築・運用まで一貫してプロジェクトを納めるだけの土壌がある。これは、例えばコンサルティングだけでは机上の理論に終わるかもしれないことも、エンジニアの目や手を通して現実的なものになることを意味する。

異動してきた小田は、ストラテジーを構成しているコンサルタントの多種多様なバックボーンには驚いたという。「前職がコンサルタントとは関係のない職業、製薬会社であったり商社であったり。必ずしもコンサルティング経験者だから活躍するわけではなく、事業会社出身だからこそお客様の社風や課題を理解できたり、それぞれ専門知識や強みを発揮しながら活躍している印象です」。

「お客様のニーズもまた、多種多様です。『そういえば、これってどうなの』と、プロジェクトの流れの中で、想定外の疑問が多々生まれます。そんな時に、『では、その分野に詳しい者を連れてきますね』と言える。ストラテジーに限らずアクセンチュア全体には、デジタル技術に詳しいエンジニアやデザイナー、私のようなデータサイエンティストなど様々な人材がいるので、“この領域に詳しい人”が必ず見つかる。これがお客様に満足いただいているアクセンチュアの最大の特長だと思っています」。

個の力を引き出す「Think Straight, Talk Straight」の文化


アクセンチュア特有の文化とは何か。その問いに対して小田は「Think Straight, Talk Straight」と答えた。「お客様に価値を提供するためにとことん考え抜き、年齢や年次、職位に関係なく自分の意見をストレートに言いなさいと上司・先輩から指導されています。『Think Straight, Talk Straight』が推奨されているので、様々なバックボーン、経験やスキルを持つ人達がそれぞれの考え方から意見を交わし議論できます。私のような経験の浅いコンサルタントでも、上司やベテランのコンサルタントに臆することなく意見を述べることができる、そして聞いてもらえる。それがアクセンチュアであり、ストラテジーの強さだと思っています」。

一つの問題・課題に対して一つの方向から物事を語るのではなく、360度方向から物事を検証できる。多種多様な人材による多様性を戦力化する土台が、「Think Straight, Talk Straight」なのかもしれない。

余談だが、社内異動について面白い話がある。アクセンチュアではグローバル(全世界に展開するグループ全体)で「キャリアズ・マーケットプレイス」という社内ツールがある。簡単にいえば、グローバルの各グループ・部署が求人を出し、それを見て興味を持った社員は応募できる、いわば「社内の転職サイト」。昨年度この制度を利用して異動した社員は700名以上いるという。小田ももちろん、その内の一人だ。

“お客様の意識を変える存在になりたい”


話を戻す。外資系のコンサルティングファーム、実力主義で新卒であろうとも一人で戦わねばならないとの印象がある。「不安はないか」との質問に、小田は答えた。「決して一人ではありません。アクセンチュアにはキャリアカウンセラー制度、さらに部門が主導しているストラテジー独自の取り組みですが、女性社員に対してはメンター制度があります。キャリアカウンセラー制度では、社員一人ひとりに、プロジェクト上の上司とは異なる先輩がキャリアカウンセラーとしてつき、キャリア構築をサポートしてくれます。メンターは中・長期的なこと、たとえば、マネジャーになるためのキャリアパスとか、お子さんが生まれた方はどうやって仕事と両立していくかなど、ライフステージに沿った相談もできます。

その他、プロジェクトの上司や同僚とは、仕事以外でも仲良くしてもらっています。プロジェクトメンバーで花火大会に行ったり、マネジング・ディレクターのご自宅でバーベキューをしたり、昨年私が結婚した時も、プロジェクトの皆さんからお祝いしてもらいました。今後もライフイベントを楽しみながら、コンサルタントとしても活躍していきたいです」。

コンサルタントという職業柄、お客様の職場に常駐し一緒に過ごす時間が多い。同じ目標に向かって毎日を過ごしているから、お客様とも情熱を分かち合えるようになる。だからこそ彼女は目指したいことがあると言う。「お客様の意識を変えることができる存在になりたいと思っています。お話する中で一緒に盛り上がる瞬間があります。でもそんな時ほど全体を俯瞰して状況を見つめ直し、場の雰囲気に流されずに冷静な提案ができる、そんなコンサルタントになりたいと思っています」。



年齢や年次、職位に関係なく自分の意見をストレートに言える自由さはあるが、同時に、確固とした自我や考えを持っていないといけない。シビアに見えるが、キャリアカウンセラー制度やメンター制度がフォローアップしてくれる。ダイバーシティを目指す中で、どれだけ多種多様な人材の採用に成功しても、一人ひとりの個性を活かせなければ意味がない。まだ始まったばかりのキャリアを振り返る小田の言葉は、それを裏付けているように思える。


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Promoted by Accenture / Text by Toshiharu Toda / photographs by Setsuko Nishikawa

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