医療従事者はヒーロー Jリーガー長澤和輝が起こした感謝のムーブメント

浦和レッズの長澤和輝は、SNSを通じて医療従事者へ感謝を届けるムーブメントを起こした。写真:Hiroki Watanabe - JL / 特派員/Getty Images


心を震わした“笑わない男”の言葉


4月11日の午後5時に開設され、長澤を含めた5人の選手の背中越しの写真と医療従事者へのメッセージが添えられた「@thanksmedicalworkers」には、すぐに同じJリーガーの小野伸二(FC琉球)や清武弘嗣(セレッソ大阪)たちが反応、新たな投稿がされた。

競技の枠を飛び越えて、瞬く間に大きな広がりも見せていった。ボクシングの世界4階級王者の井岡一翔も賛同を寄せ、ラグビー日本代表のプロップとして活躍した“笑わない男”稲垣啓太は、次のような粋な言葉で、投稿を見た者の心を震わせた。

「今世界で1番身体張ってるのは医療従事者の方々。頭が上がらねぇし感謝しても仕切れない」(原文のまま)

最前線に立つ医療従事者からも「このような大変な時期ですけど、これだけ多くの方々に声援を送っていただき涙が出ました。また頑張れそうです」といったダイレクトメッセージが届いた。ムーブメントの発信源となった長澤は「やってみて本当によかった」と笑顔を浮かべる。

「想像もしなかったような、さまざまな競技の人たちが賛同してくれたことで、多くの医療従事者の方々にリーチできたと思っています。僕たちの気持ちが確実に伝わったと思えるメッセージを数多くいただいたので」

6月19日に開幕したプロ野球に続き、サッカーも27日にJ2再開とJ3開幕を、7月4日にはJ1の再開を、それぞれ最初の2試合は観客を入れない「リモートマッチ」として迎える。レッズは再開初戦で昨シーズンのチャンピオンである横浜F・マリノスと無人の埼玉スタジアムで試合をする。

「多くの人々がいまだに大変な思いをされているなかで、僕たちがサッカーを通じて、地元のみなさまへ夢や希望、元気を与えられるように、いまは精いっぱいトレーニングに励んでいます。スタジアムで一緒にというのは厳しい状況ではありますが、僕たち選手も毎日のようにファンやサポーターのみなさんのことを考えています。ぜひ気持ちを通じさせて、この危機を一緒に乗り越えていきたい」

ピッチに立った瞬間から、スタンドがレッズのチームカラーの赤に染まっていることをイメージしながら、アスリートとして貪欲に勝利を目指す。今度は、長澤をはじめとするレッズの選手たちがヒーローになる番だ。

連載:THE TRUTH
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文=藤江直人

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