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コメンテーターや評論家としても活躍するサイエンス作家・竹内薫

昨今のコロナ禍で進むのは「テレワークの導入」よりむしろ「生産性の低い人材の淘汰」だ。コメンテーターや評論家としても活躍し、2016年には自ら学校まで開校したサイエンス作家・竹内薫に「経済危機にも今後きたるAI時代にも負けない働き方」を聞いた。


実は仕事に必要なかったもの


「娘が小学校に上がるとき、あらゆる学校を探しましたが、通わせたいと思う学校がなかった。なので、自分で作るしかないと思ったんです」

竹内は、当時のことを飄々と振り返る。自ら創立した「YESインターナショナルスクール」は日本語、英語、プログラミング言語の教育を主としている。これは「いま小学校に通っている子達が就職する頃には、現在のエクセル、ワードのように基礎的なスキルとしてプログラミング能力を求められるはず」という彼の見立てによるものだ。

「これからの時代、計算や記憶はコンピューターやAIに任せればいい。それよりも子ども達の能力をさらに高めるためには “探究心”と“クリエイティブ”が何より重要です」

ただ与えられたタスクを受け身でこなすのではなく、自ら探求し、創造していく姿勢が求められる──コロナショックを経て、この言葉を痛感するビジネスマンも多いのではないだろうか。昨今のビジネスシーンの急速な変化について、竹内はこう分析する。

「医療従事者、公共交通機関の職員といったエッセンシャルワーカー(社会にとって必要不可欠な労働者)を除けば、コロナ以前も問題なくテレワークができたはず。いまは、踏み切れなかった“心のバリア”が取っ払われた状態ですね。私の友人達は、自宅のほうが圧倒的に生産性があがると話しています。みんな我慢して満員電車で通勤していましたが、そんなものは必要なかったと気づいた。人が集まることではなく、一人ひとりが成果を出すことこそが、仕事の本質なのだと見えてきたのではないでしょうか」

社会全体のシステムが大きく変わり、誰もが手探りの状況。しかし、竹内は冷静に過去を振り返りながら、この局面を見つめている。

「近代において、日本が大きく成長した時期は2回あったと考えています。明治維新と、第二次世界大戦後です。どちらも既存システムがリセットされゼロからの再スタートとなりました。このとき人々の活力が出てきて、数多くのベンチャー企業が生まれます。大手企業の多くは、この時期に創業されたもの。そして昨今のコロナ禍は、日本にとって第3のベンチャー成長期にあたると考えます」

自由な時間が増え、一方で成果がより厳密にもとめられる。いまは自分自身のクリエイティブをさらに拡張するチャンスというわけだ。

楽しんで、集中!


仕事の成果を上げるために、クリエイティビティを重要視する竹内は「集中して仕事をするべき」という。しかし、それが実践できず悩む人は少なくない。いかに集中力を維持すべきかを尋ねると、シンプルな答えが返ってきた。それは楽しむことだ。

「子どもに対して『集中しなさい』と注意する先生や親御さんがいますが、子ども達は楽しければ自然と集中します。つまり楽しくなければ、集中力は続かないのです。ビジネスの場合、なぜ仕事に集中できないかを考えると、なんとなくその仕事が面白くない、そこに意義が見いだせないといった面があるのではないでしょうか」

しかし、「面白い仕事ばかりではない」という反論が聞こえてきそうだ。モチベーションを保ったまま仕事を楽しむコツについて、竹内はこうアドバイスする。

「私も執筆している時『書きにくいな』って思う時があります。そういう時は、笑えるほうへ面白いほうへガラッと方向転換したり切り口を変えたりすると、意外とうまくまとまるんです。またはモチベーションを上げるために、内容じゃなくてインターフェイスを変えてもいいですね。使いやすい新しい端末を買ったり、PCを設定し直したり、快適な場所を探したり……。集中は体力がいりますから、こまめな運動を習慣にして気分転換を挟んでもいいでしょう。どのやり方が合っているかは、人それぞれ。自分はどうすれば集中できるのか考え、創意工夫することが重要ではないでしょうか」

自分はどうすれば仕事を楽しめるのか。そういう意味ではテレワークという環境は、自分の集中力を維持する方法を自ら探求するためにもってこいの機会といえる。

一度の内線電話で数十分が水の泡?


これからは、「テレワークとオフィスの併用時代」が来ると予想される。どちらで仕事をするにしても集中力を維持し、モチベーションが上がる環境が必要だ。

もちろんオフィスワークにおいては、面と向かった社内コミュニケーションなど多数のメリットがあるが、社内外の人の出入りが多いためにどうしても集中力を阻害されてしまうケースがある。そこで新しいシステムが必要となってくるのだ。

例えば、「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」は、受付業務と日程調整を半自動化し、社員の生産性を高めるクラウド受付システム。来客があると内線電話や電話係を使わずチャットツールを介して担当者に通知、スケジュールも自動的に調整し、入退室の記録も保存する。10年以上にわたり受付業務に従事した代表・橋本真里子によるノウハウが詰まった、業務効率化をサポートする仕組みだ。

竹内は「こうしたサービスはとても重要ですね。執筆途中で電話に気を取られて、アイデアを逃したことは何度もあります」と苦笑しつつ、「楽しみを邪魔するもの、つまりクリエイティビティと関係がないものは、できる限り自動化していくことが重要。もっと言えば、今後は『自分の仕事を自動化させる能力』が重宝される。それが第四次産業革命の流れだと思います」と真剣な面持ちで話す。これもまた“単純な計算や記憶はコンピューターやAIに任せれば良い”という、竹内の教育理念と一貫している。

特に内線電話について考えてみると、電話をとったタイミングで進めていた仕事が寸断されるばかりか、転送という手順を経ることで脳のスイッチが完全に切り替わってしまう。一度途切れた集中力を取り戻すために数十分を要する、という実験結果もあるほどだ。

受付業務や受電取次のみならず、オフィスで行われていた雑談は取り払われ、あらゆる物事のオンライン化が加速していく。With/Afterコロナの時代において、顔を合わせない同僚や部下とのコミュニケーションに行き詰まる人もいるだろう。そんな人たちへ、竹内はこうアドバイスする。

「テレカンやチャットのほうが気楽で安心できる人もいる一方で、対面じゃないコミュニケーションに苦手意識を持つ人もいるでしょう。さらにいえば、ハイブリッドで使いこなす人もいます。自分の部下や同僚はどういうタイプなのか、かける言葉やコミュニケーションをその都度その都度工夫する必要があると思いますね。決まりだから、礼儀だから、と形式に囚われるのではなく、自分で考える姿勢が大事になってくる。これも“相手のクリエイティブを引き出すためのクリエイティブ”といえるでしょう。自分で創意工夫し、探求しながら、物事に取り組んでいく。これこそ人工知能とは違う、心を持った人間の特権ではないでしょうか」


クラウド受付システムRECEPTIONIST(レセプショニスト)
https://receptionist.jp/


竹内 薫(たけうちかおる)◎1960年生まれ。東京大学卒、McGill大学大学院修了。理学博士。『99.9%は仮説』ほか多くの著書を刊行、テレビやラジオでも活躍するサイエンス作家。

衣装協力
ジャケット¥132,000、シャツ¥33,000、チーフ¥9,900/以上すべてランバン コレクション(ジョイックスコーポレーション︎)

Promoted by RECEPTIONIST / text by 伊藤七ゑ / photograph by 吉澤健太 / styling by 井藤成一

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