シカゴの「もっとも危険な道」で住民が目にしたもの

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シカゴの街角では、週に平均40件もの銃撃事件が起きている。

銃撃事件の被害者や、その家族の話を実際に聞くことになれば、改めて銃所持の是非を考え直すきっかけになるかもしれない──。

そんな仮定をもとに、街角でのインスタレーション「Most Dangerous Street(もっとも危険な道)」を仕掛けたのが、1975年に設立された、イリノイ州シカゴで銃規制を訴えて活動をする非営利団体「ICHV(イリノイ州拳銃暴力反対協議会)」だ。

ICHVは、シカゴのある1本の通りに、過去1週間に起きた銃撃事件と同じ数の赤いレーザーを張り巡らせた。そのレーザーが壁に映し出すのが、事件が起きた日時と、被害者の年齢と性別だ。

ここでレーザーが用いられたのは、 事件後に法医学者が銃弾の軌跡を追い、それを裁判で使用することを倣ったから。



また、このキャンペーンのWebサイトでは、「息子が撃たれたと、突然電話で知らされました」、「フランキーは私のダンスパートナーでしたが、もう二度と一緒にダンスをすることが叶わなくなりました」と、被害者やその家族の話が語られる。

被害者を単なる数字ではなく、彼、彼女らのストーリーとして伝えることで、銃の危険性を再認識させた「Most Dangerous Street」は2020年6月、世界3大広告賞の一つ「The One Show」で、最高賞の「ベスト・オブ・ディシプリン」を受賞した。

ICHVはこのキャンペーンの後に、「SAFE Act」というプロジェクトを発足。人々へ国や州による銃規制の法整備に働きかける活動へ参加をすることから、行動に移すことを呼びかけている。

文=守屋美佳

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