イノベーション・エコシステムの内側


旅先の空港でスカイプ共同創業者と出会う


サンフランシスコからロンドンへ向かう旅の途中、トランジットで立ち寄ったスウェーデンのストックホルム空港で、センニャンゲ氏の運命が変わった。

そこで偶然にも出会った男性が、起業家や投資家のアドバイザーをしている人物で、センニャンゲ氏が事業のアイデアを話したところ、その場でロンドンにいるスカイプの共同創業者のひとり、Janus Friis氏を紹介してくれたのだ。

ロンドンに着くと、直ぐにFriis氏に会いに行き、「私がこれからつくる一酸化窒素センサーの技術を用いた新しい喘息測定デバイスで、世界中に3億人いる喘息患者を助けたい」という熱い思いを伝えた。Friis氏にも病気で苦しんでいる人々を救いたいという思いがあり、はからずも彼は2011年5月にスカイプをマイクロソフトに8.5兆ドルで売却したばかりだった。

2012年6月27日、2人が出会ってからわずか33分間後に、シリーズA投資が決まった。シリコンバレーに戻ったセンニャンゲ氏は、Ryan Leard氏と共にバイオスタートアップのSpirosure社を設立。喘息診断デバイスのプロトタイプづくりが始まった。

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(左)Solomon Ssenyange氏(右)Ryan Leard氏

2014年には、オハイオ州立大学からの紹介で、名古屋に本社を置く日本企業がSpirosure社を訪れ、ストラテジックインベスターとしてシリーズBの調達も決まった。センニャンゲ氏は、以前から日本文化には親しみを持っていたことや、投資を決めた日本企業が「社会への貢献」を重要視していたことから、著しい事業シナジーを感じたという。

イグジットに繋がる日本企業との共同事業


こうして、シリコンバレーで研究し、日本で製造するというクロスボーダーのオープンイノベーションが始まった。シリコンバレーと名古屋での共同開発は、ウェブ会議やメールでのやりとりを中心に進められたが、年に2度は、互いに行き来して顔を合わせる機会がつくられた。対面の打ち合わせにより、両社のエンジニアと経営陣間の人間関係が強化され、書面やデジタルによる行き違いも排除され、製品開発が迅速化されたという。

文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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