最後のジョンクーパーは、環境意識の高い、インテリ君
世界の自動車業界は、PHEVやEVなど、次の時代のパワートレインへ移行し続けているが、まだまだ時間はかかるし、現在の共存の時代はひとつのモータリゼーションの在り方でもある(MINIも、ラインナップとしてEVが用意されている)。過渡期と言える今、ガソリンやディーゼルのパワートレインはより高性能になり、環境問題を意識している。
そして「GREENモード」は、ただのエコモードではない。例えば、「セーリング機能」と呼ばれるエンジンとトランミッションを切り離して、文字通り船のセーリングと同じように慣性で走る仕組みが特徴のひとつだ。今回は試乗のため燃費は確認できなかったが、あきらかに燃費は違ってくるだろう。
走行モードの切り替えはイグニションキーエリアの右端に配置。ドライバーから容易に操作が可能だ。走行中のドライバーが持つリスクを軽減する意味で、トグル型など立体的なスイッチを用いるのは正しいデザインのあり方だ。
アクセルの踏み込みと加速のレスポンスは、SPORTSモードと明らかに違いを感じる。劣るという感覚ではなく、そもそもがやんちゃなゴーカートと評されるジョンクーパーワークスなのだから、機敏なフィーリングはそのままだ。加えてこちらもシフトレバーを左に倒せばスポーツプログラムが作動し、豹変する。エコでありスポーツでもあるという文武両道な知性派という印象だ。
コンパクトSUVの最高峰のひとつ
生まれ変わったジョンクーパーワークス。あらたあめて刺激的なファンドライブを与えてくれた試乗だったが、今回試乗したSUVという点で言うなら、世界的に人気カテゴリーの理由である実用性を極めながら、アグレッシブな攻めの走りを可能にした理想的な一台だ。
モードの違いだけで3人のジョンクーパーとは言わない。最上のゴーカートフィールの上にある、明らかな「個性」を持つエクストリームな感覚だからこその表現だ。この世界観をぜひ味わって欲しい。
【試乗車データ】
MINIジョンクーパーワークス クロスオーバー
全長:4315mm
全幅:1820mm
全高:1595mm
車重:1670kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:306PS(225kW)/5000rpm
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/1750-4500rpm
タイヤ:(前)225/45R19 96Y/(後)225/45R19 96Y
燃費:13.2km/リッター(JC08モード)/11.8km/リッター(WLTCモード)
価格:607万円(消費税込み車両本体価格)