複数のメディア報道によると、フェイスブックは自社のプラットフォームとアルゴリズムが対立や過激主義を煽りやすいことを認識しながらも、この問題について自ら行った調査の結果を無視し、何ら対応を取らないことを決定した。
フェイスブックはなぜこうした対立を煽るのか? それは、対立が収益につながるからだ。ニューヨーク大学は最近発表した報告書で、フェイスブックはコンテンツモデレーターとして1万人以上のチェッカーを雇っているものの、チェック作業はプラットフォーム上の問題を解決できない環境で行われており、投資が不十分であることは明らかだと指摘している。
つまり、これは中身のないPR戦術だということだ。同時にフェイスブックは、ヘイトスピーチや陰謀論、フェイクニュースの拡散をコントロールできない「フェイスブック・グループ」のようなサービスもリリースしている。
フェイスブックのボイコット運動は広がりを見せており、ザ・ノース・フェイスはツイッターへの投稿で参加を表明。さらに、自社のクライアントへ参加を促す広告会社も出てきた。
活動家団体「スリーピング・ジャイアンツ」は、広告主に保守系ニュースサイトを避けるよう呼び掛けている。フェイスブック側との話し合いを終えた人権団体のリーダーらは、同社の方針を非難。
スティーヴ・ジョブズの片腕だったジョアンナ・ホフマンは、この問題をドラッグ取引になぞらえ、フェイスブックが「怒りという依存性の高い薬物」を売りさばいていると批判した。フェイスブックの従業員や元従業員、そしてチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブから資金援助を受けている科学者たちですら、ザッカーバーグの戦略に異議を唱えている。
7月に呼び掛けられているボイコットがフェイスブックの方針変更を促すかどうかは分からない。実際のところ多くの企業が、フェイスブックのターゲティング広告に依存し、自社のマーケティング投資を正当化するとともに、自社サイトへのトラフィックを金で買って自らや周囲を欺いている。しかし、誇りを持って脱フェイスブックを掲げる企業が出てきて先例となれば、ボイコット運動も将来へ向けて大きな価値を持つ可能性がある。
これまでの人生を振り返り、自分が人々を分裂させ、ヘイトスピーチを拡散し、いじめやハラスメントを助長するツールの開発に力を注いできたことに気付くのは、きっと恐ろしいことだろう。マーク・ザッカーバーグは「アメリカのオリガルヒ(新興財閥)」と呼ばれるのに値する行為を行ってきた。たとえ民主主義の本質を危うくしたとしても、稼ぎ続けるためには手段を選ばず、自分しか信じない独善的なモンスター、歴史上の悪者としての評判を得てしまったのだ。