世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

ハ・ワン著、岡崎暢子訳『あやうく一生懸命生きるところだった』から

40歳を目前にして会社を辞め、一生懸命生きることをあきらめた著者のエッセイが、韓国で売れに売れている。現地で25万部を突破し、「2019年上期ベスト10」(韓国大手書店KYOBO文庫)、「2018年最高の本」(ネット書店YES24)に選ばれるなど注目を集め続けているのだ。

その本のタイトルは、『あやうく一生懸命生きるところだった』。何とも変わったタイトルだが、現地では、「心が軽くなった」「共感だらけの内容」「つらさから逃れたいときにいつも読みたい」と共感・絶賛の声が相次いでいる。日本でも、東方神起のメンバーの愛読書として話題になったことがあった。

そんなベストセラーエッセイの邦訳には、シンガーソングライターで写真家の有安杏果さんから「人生に悩み、疲れたときに立ち止まる勇気と自分らしく生きるための後押しをもらえた」と推薦コメントが寄せられ、発売即大重版となるほどの売れ行きとなっている。今回は、本書の日本版から抜粋するかたちで、失敗を認めることの大切さについて触れた項目の一部を紹介する(第3回)。

第1回 / 第2回


あきらめることは失敗か?


あきらめとは「卑屈な失敗」だと教わってきたが、実のところそうではない。

賢明な人生を生きるうえでは、あきらめる技術も必要だ。

僕らは、忍耐や努力する技術については幾度となく体にたたき込まれてきたが、あきらめる技術は教わらなかった。いや、むしろあきらめてはいけないと習った。だから、あきらめられずに大損害を被ったりする。

僕の度重なる入試の失敗談も、あきらめずに挑戦し続ける「不屈の意志」の話ではない。まさしく「コンコルド効果(元手を考えてあきらめられなくなる思考)」に陥っていたのだ。

どれだけの時間を受験に費やしてきたか、という気持ちでいっぱいだった。その期間をムダにしたくなくて失敗を認められず、挑戦を繰り返した。

挑戦している間は失敗ではないから。そうして失敗を先延ばしにしていたのだ。

三浪の末に合格しただけマシで、もしそこで不合格だったなら、きっとまた受験していたに違いない。いつもこれが最後だと腹をくくっていたが、落ちると必ず、これまでに費やした労力と時間を考えて、潔くあきらめることも失敗を認めることもできなかった。

失敗を認める勇気を持とう


賢明なあきらめには“勇気”が必要だ。

失敗を認める勇気。

努力と時間が実を結ばなかったら、潔く振っ切る勇気。

失敗しても、新たなことにチャレンジする勇気。

こうした勇気だ。賢明なあきらめとは、極限まで耐えしのんで仕方なく受け入れるあきらめとも、つらくてさっさとあきらめる意志薄弱とも違う、まったくの別物だ。

適切な時期に、まだもう少しムリできそうでも勇気をもってやめることだ。

なぜかって? その選択こそ利益だから。

人生にも「ストップロス(損切り)」が必要だ。タイミングを逃すと、少しの損失ですむものが大損害になる。我慢してやみくもに努力することだけが能力ではない。

今、僕らに必要なのは、努力よりも勇気のようだ。それは、たとえ無謀でもチャレンジできる勇気、そして適切な時期にあきらめられる勇気のことだ。

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(本原稿は、ハ・ワン著、岡崎暢子訳『あやうく一生懸命生きるところだった』からの抜粋です)

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ハ・ワン著、岡崎暢子訳『あやうく一生懸命生きるところだった』からの抜粋

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