消費行動へと繋がるインセンティブが変化しつつある中で、今回の抗議デモは企業と消費者にどのような影響を及ぼしたのだろうか。
企業はメッセージだけでなくアクションを
ツイッターやナイキなど大手企業が次々と抗議運動を擁護する声明を出している(関連:ネットフリックスやナイキが沈黙を破った理由)。しかし、このように政治的、社会的立場を表明する企業が増えてきたこともあり、メッセージだけでは不十分だという声も上がってきている。消費者が注目しているのは、中身の伴ったアクションが行われているかだ。
米スーパーマーケット大手ターゲットのブライアン・コーネルCEOは、5月29日に公式サイトで声明を発表し、複数の被害者の名前をあげながら黒人差別問題と向き合っていく姿勢を示した。ミネアポリスにある店舗では、一部のデモ参加者による略奪行為の被害にあっており、休業を余儀なくされている店舗もある。そのような店舗で働く従業員には、数週間分の給与を全額支払うことを約束した。
また、救急医療セットや薬、ベビー用品などの必需品を配布する用意があり、「デモで傷ついた地域の人々を、これ以上傷つけるわけにはいかない」と地域社会や市民に寄り添う対応を見せた。さらに、6月5日の声明では、複数のアフリカ系アメリカ人の人権団体へ1000万円を寄付と黒人経営の中小企業へ無償の相談サービスを開始することなどを発表した。
他にも、近年はサステイナブルファッションで注目されるH&Mやリーバイス、グッチなどを傘下に持つケリング・グループも、それぞれ人権団体への多額の寄付を発表している。
#BuyBlackがSNS上のキーワードに
企業は、寄付や物資支援などで活動を支援する一方で、消費者はどのように動いたのだろうか。
抗議活動が活発になった5月下旬から、インスタグラム上では「#blackowned」「#BuyBlack」といったハッシュタグをつけた投稿が目立ち始めた。黒人経営のブランドや店舗をリストで示した投稿につけられることが多く、このような店やブランドで買い物をして支援をしようという動きだ。