国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」



トヨタWiLL Vi

トヨタWiLL Viというクルマを覚えているだろうか。1999年から5年続いた日本の異業種による合同プロジェクト名だ。若者向けのこの企画は、花王、トヨタ、アサヒビール、パナソニック、近畿日本ツーリストの5社から開始され、WiLLというブランドで多くの商品が売り出された。その中のトヨタWiLL Viは、ヴィッツをベースに開発された。一番話題になったのはそのデザインだ。

「かぼちゃの馬車をモチーフとしたスタイリングが、まるでシンデレラ物語のようなおとぎ話みたいだ」とイタリアの同僚が言う。「ヴィッツは1.3Lのエンジンしか載っていないので、大した走りではないけど、誰も乗っていない超ユニークなクルマに乗りたければ、この1台を買えば?」と英国の同僚が語った。

英国では、多くのユーザーが乗るのとは違う変わった小型車に乗りたい人のために、WiLL Viは2000年ぐらいから並行輸入され、ヒットした。

時代を先読みした5速AT



三菱 FTO

三菱からは、1994年にFTOが届けられた。実は90年代に三菱は欧米の辛口メディアに高く評価されるレベルの高いクルマ作りをしていた。世界ラリー選手権の優勝車のランサー・エボリューションやGTOなどは当時のトップクラスのスポーツカーと並んでいて、そのすぐ下のセグメントに前輪駆動のFTOが参入した。

最初は国内専用だったが、英国からの要望によって、一番パワフルな197PSのV6仕様の限定版が英国にも輸入された。賢い5速ATは、ドライバーの運転スタイルを覚えてくれると言う特徴が時代を先読みしていた。デザインはスリークでスポーティだったけど、「そのラインやプロポーションはいかにもジャポネスク的な(日本らしい)できなので、ニッチマーケットでヒットした」と英国の同僚は言う。

理想的なエントリーモデル



スズキ・カプチーノ

最後は、1991年に登場したFR軽自動車のスズキ・カプチーノだ。車重725kgしかなかったこの2ドア・スポーツカーには、64psを発揮する660ccターボ付き3気筒エンジンを搭載。実は、最初の2年は人気車として並行輸入で英国に上陸していたけど、英国市場からのラブコールがあまりにも強く、スズキ本社は英国の規則に適合するように工夫して、1993年に英国にデビューさせた。

英国の人気クルマ番組「トップギア」の元司会者3人が新しく作った人気ウェブサイト「ドライブトライブ」によると、マツダ・ロードスターより格好良く、特別感のある初代カプチーノは、スポーツカーに乗りたい若いユーザーの理想的なエントリーモデルだという。「前後重量配分が50:50ということと、後輪駆動、またエンジンが9300回転まで回ることは最高」だと高く評価されている。

遊び心満載のレトロ的なデザインを好む英国人にとって、30年前の日本車はうってつけなのだろう。台数も限られ、需要も国内外で上がりつつあるので、これら5台はそれぞれ100万円を軽く超えている価格設定になっている。さて、日本のカーメーカーは、欧州人に受けるこんなデザインのニュアンスを再び見つけられるだろうか。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
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文=ピーター・ライオン

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