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Ariel Skelley/Getty Images

医療データのスタートアップ、米アバカス・インサイツ(Abacus Insights、マサチューセッツ州ボストン)が、シリーズBラウンドで3500万ドル(約37億円)を調達した。同社はクラウドサービスを通じて、保険会社など向けに患者データを共有するプラットフォームを開発している。米国では来年から、保険会社や医療機関に患者のデータを交換できるシステムの導入が義務づけられることになっており、同社の技術に注目が集まっている。

保険各社は長年、契約者に関する膨大なデータを蓄積してきた。そうした一社で幹部を務めていたドクター・ミナル・パテルは、ある病気の患者が同じ地域に何人いるかといった、ごく単純な解析ですら、複数のシステム間で実行すると結果が出るまでに何カ月もかかることがあるのに、すぐ気づいたという。そこでパテルはアバカスを創業し、相互運用性という医療テクノロジー分野で最も手ごわい課題の一つに取り組むことにした。

「当社のソリューションは、医療保険関連の異なる種類のシステムとやりとりして、そのデータをすべて1つの環境に取り込むものです」と同社最高経営責任者(CEO)のパテルは説明する。複数の文書間の語句を関連づけるデータリンキングや、データの整理や加工などのデータラングリング、データクオリティーの確保といった作業も、同社のプラットフォーム上で自動に行われるという。

保険会社と医療サービス提供者、患者それぞれのデータアクセスが向上すれば、たとえば、ある患者が処方箋を出してもらわなかったり、二重の検査を受けなくてよかったりする理由がわかり、治療成果の向上や経費の抑制につながることが期待される。

16日の発表によると今回の資金調達ラウンドは、全米の保険会社36社でつくるブルークロス・ブルーシールドなどが出資するブルー・ベンチャー・ファンドが主導。ほかに、CRV、406ベンチャーズ、エコー・ヘルス・ベンチャーズ、パテルの元勤め先のホライゾン・ブルークロス・ブルーシールドなども出資した。これにより、アバカスの累計資金調達額は5300万ドル(約57億円)となっている。

登録患者「2〜3年で1億人」を目標


保険各社が医療データを共有する技術を求めているのには理由がある。米連邦当局は今年3月、患者側が医療データをもっと自分で管理できるようにする規制改革案を取りまとめ、保険会社や病院は2021年1月1日までに、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じたデータ交換が可能なオープンシステムを採用することが求められているのだ。

編集=江戸伸禎

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