Arrival Busと呼ばれる同社のバスは、シートの各列の間をプラスチック製のパーテーションで区切り、コロナ後の公共交通にふさわしい車内空間を実現している。
ロンドンに本拠を置くArrivalは、今年1月にステルスモードを脱し、韓国の現代自動車とその傘下の起亜自動車(Kia)から1億ユーロ(約123億円)の出資を受けた。Arrivalの企業価値は現在30億ドル以上とされている。
その後、同社のもう1社の出資元であるUPSは、最大1万台のEVバンをArrivalに発注した。UPSが支払う金額は5億ドル近くに達するという。
Arrivalの車両は平らなスケートボード型のプラットフォーム上に、軽量なボディパネルを配置することで低コスト化を実現し、1充電あたりの走行距離を伸ばしている。
Arrivalは連続起業家のDenis Sverdlovによって2015年に創業された。Sverdlovはロシア政府に勤務した後、スマホメーカーのYotaを創業し、2012年にロシアの通信事業者のMegaFonに12億ドルで売却していた。
EVバス分野に参入するArrivalは、この市場のリーダーである中国の「BYD」や、元テスラのエンジニアや取締役らが立ち上げたシリコンバレー企業「プロテラ(Proterra)」との競争に直面することになる。
Arrivalは政府や都市とパートナーシップを結び、ゼロエミッションをゴールとする統合化された公共交通のエコシステムを創出していく計画だ。同社のビジョンには、カーシェアリングや、EVバス、デリバリーロボット、そして充電ステーションの構築などが含まれている。