別のビジュアルのバージョンでは、Swipeすることで大ぶりのドイツパンからひと切れが切られ、そのひと切れを子供の手が持ち去るというもので、そのアクションで2ユーロが寄付される。
「彼らを助けよう!」と直接呼びかけたり伝えたりするのではなく、実感を伴うようにして上手に最終的にアクションさせる。従来の広告のように、何かを「伝える」のではなく、体験を伴って「行動させる」新しいタイプのクリエイティブだ。
アクションを誘発する施策
こうした事例から、我々の日々の暮らしに得られるヒントは何だろう? 「オレが口を酸っぱくして言っているのに部下がやらない」という課長や部長がいる。しかしそれは、厳しく言えば、上司としての怠慢、あるいは無能を表している。
この上司は、その伝え方では部下が従わないとわかっているのに、違う伝え方を工夫することもなく、「口を酸っぱくして」同じ言い方を繰り返していることにすぎない。本来であれば、まずは言い方や伝え方を変えてみる、できることなら思わず行動したくなるような、アクションを誘発する施策を考えるべきであろう。
なかなか勉強しない子どもに対しては、どうだろう? ただ「勉強しなさい!」と言っても、たいていの場合、子どもたちはやらない。であれば、どうするか? 例えば、「手がける問題集と日々の範囲を一緒に決めてあげ、晩ご飯の後に親に報告する」と決めてみるのはどうだろうか?
この報告もそれなりに楽しい雰囲気のものにしてあげる必要はあるが、勉強というアクションに繋げるのには、単に「勉強しなさい!」と言うだけではなく、こうした行動にダイレクトに繋げる施策を導入してみることも重要だ。
「伝える」から「アクションを誘発する施策」へ。なかなか動かない相手へと相対するときには、そんなやり方も試してみては、いかがだろうか。
連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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