「今日死んでもいい」生き方、コロナという有事に向き合うヒントとは

新型コロナウイルスをきっかけに、これまでのロジックだけではサバイブできぬ時代を迎え、私たちは何をどう見、考え、未来に備えたらよいのか。

企業、経済、社会。全てのフォーマットが変容を求められる未曾有の世界に対応するため、各界の識者から智恵を集結、「アフターコロナのニューノーマル」と題し、シリーズでお届けする。

今回は、NPO法人ミラツク代表理事の西村勇哉氏、肩書を持たず、世界複数拠点で活動する近藤ナオ氏に伺った。


──このコロナによって、今までの常識が覆され、予想外のことが起きています。近藤さんはセレンディピティや偶然の出会いを生かしていらっしゃいますが、私たちはこの混沌の時代に何から始めたらいいのでしょうか。

近藤:目の前に触ったことのない物体が現れたとき、まずはそれをリアルに触ってみること。僕は1回もやったことがないことは全部やると決めています。例えば、極端な例だけど、おしっこ飲んでみるとか。アフリカの水がないエリアで、自分のおしっこを飲む日がくるかもしれない。するかしないかの判断はせず、とにかくやってみる。それを繰り返すことで、何に対してもクリエイティブに対応していけると思います。

──オンラインが広まるなか、リアルの重要性は?

近藤:僕は活字を読むのが遅いので、現場に行き、体験することで情報をえています。この1年は、日本以外にオランダとジョージア、タンザニアに友人とお金を出し合って家を買い、それぞれの国でレジデンスパーミットもとりました。そこまですると相手に本気度が伝わるので、人が集まり、何かが動き出すという実感があります。

西村:何か1つの物事をある程度ちゃんと勉強すると、その分野について人から話を聞けたり、普段行かないところに踏み込めたりできると思っていて。何かを学びたいと思った時は、ちょっとだけ学ぶのではなくて、「ちょっとだけちゃんと」学ぶことが大事だと思います。

──これから人間関係やコミュニティのあり方はどのように変化するのでしょうか。

西村:僕は27か28歳のときに会社をやめました。普通のサラリーマンだったので手に職はなかったけど、なんとかなった。今思うのは、手に職があるかより、まわりにコミュニケーションをとれる人がどれだけいるかが大事だということ。今後はよりその重要性は高まっていくと思います。

近藤:ビジネスにおいても同じで、お客さんとの関係性がないお店は次々に潰れています。関係性を育むのは時間もコストもかかるので、マーケティングやブランディングを駆使して効率を求めていた人が多かった。でも一線を超えた関係性を構築していると、有事の際に支え合うことができます。僕は3年前から渋谷に19部屋のマンションを借り、「拡張家族」というコンセプトのもと、40世帯で暮らすというチャレンジを始めました。そのコミュニティ内でも、コロナ禍においては互いに助け合い、十分機能したと実感しています。

西村:家族だけではなく、ちょっと隣にいる関係性みたいなものをどう構築していくのかがテーマですね。
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文=伊藤みさき 構成=谷本有香

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