「今日死んでもいい」生き方、コロナという有事に向き合うヒントとは


──これから仕掛けていきたいこと、もしくは皆さんでやっていきませんかということは?

西村:研究者やアーティスト、スポーツ選手と日常生活で出会う機会はあまりありません。でも彼らは、コロナだったらコロナを、違う角度から見てくれます。世の中にはいろんな知見がたくさんあるのにうまく生かされていないので、それらをブリッジングしてくれる情報が増えたら楽しいと思います。

近藤:2~3年前から、タンザニアのようなインフラが整備されていないエリアで、ゼロから暮らしづくりを本気でやっています。太陽光で発電したり、地下から水を汲んだり。それは日本の限界集落でも真似できるモデルになるはず。このモデルを完成させたいです。

──アフターコロナのニューノーマルとは?

西村:僕が代表を務めるミラツクというNPOは、10年前から100%リモートワークです。それはこの時代を予測して備えていたわけではなく、ただ僕が、毎日同じ時間に出勤するのが嫌だったから。アフターコロナはこうなるだろうと考え、それに向けて合わせていくとしんどいと思います。だから、予測に合わせていくのではなく、純粋に今やりたいことから始めた方が良い。

今はゆっくり考える時間が多めにあるので、何がしたいかを考えるチャンス。変なことをしても許されやすい状況ですし、「実はこういうことをやってみたかった」ということを、始めてみたら良いんじゃないかな。

近藤:僕の強い価値観として、今日死んでもいいと思っています。人間は結局、生まれて死ぬだけの動物ですが、すぐには死なせてはくれません。その死ぬまでの間、何をしようかなと思ったときに、自分が楽しいことをやりたいと。その死というものの捉え方をちゃんと自分なりにマインドセットすると、それもある意味、有事の時にどう立ち向かうかというヒントになると思っています。


西村勇哉◎NPO法人ミラツク代表理事。1981年大阪府池田市生まれ。大阪大学大学院にて人間科学(Human Science)の修士を取得。人材開発ベンチャー企業、公益財団法人日本生産性本部を経て、2008年より開始したダイアログBARの活動を前身に、2011年にNPO法人ミラツクを設立。セクター、職種、領域を超えたイノベーションプラットフォームの構築と、年間30社程度の大手企業の事業創出支援、研究開発プロジェクト立ち上げの支援、未来構想の設計、未来潮流の探索などに取り組む。 国立研究開発法人理化学研究所未来戦略室 イノベーションデザイナー、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ 特任准教授

近藤ナオ◎肩書きはもたず、「週末アドベンチャートリップ 」「ステージえんがわ 」「三条スパイス研究所 」「まちの保育園」「FOUND 」「日本橋フレンド」などのプロジェクトに参画。オランダ、タンザニア、ジョージア、東京、福岡に家を持ち、すべての家を順番にまわりながら、それぞれの地域で仕事をしている。現在は特に、アフリカの投資に特化したファンドでファンドマネージャーとして活動。ケニアやガーナ、ナイジェリアなどのアフリカの地を転々としながら、「釈然とする」暮らしの実現を目指している。

文=伊藤みさき 構成=谷本有香

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