米国のテック企業社員の81%、金融企業社員の同じく81%が、職場での接触追跡に反対だと答えたのだ。これは、職場環境のトレンドを中心としたオンラインニュースや情報を発信するパブリッシャー、フィッシュボウル(Fishbowl)が行った調査の結果だ。
接触追跡アプリというアイディアは、今年はじめから始まった新型コロナウイルスのアウトブレイクのなかで、米国の一部の州や韓国全土などで実行に移された。このテクノロジーは、誰が有症患者と接触したかを当局者が追跡し把握することが念頭におかれている。
患者が誰と接触したかを追跡することで、雇用者や地域保健当局は、症状がなくても接触者に検査を受けさせることができる。また保健当局は、ウイルスを拡散させないことを目的に、接触者に一定期間の自主隔離を要請する場合もある。
フィッシュボウルの調査に回答した1万7297人の専門職社員のうち、1万2919人(74.69%)が、自分であれば会社に対して、他の従業員との接触状態を追跡することを許可しないと答えた。
サンベルト(北緯37度以南、カリフォルニア州からノースカロライナ州にかけての地域)の諸州は、職場での接触追跡に賛成する割合がとりわけ低かった。
「接触追跡を許可する」と答えた社員の割合がもっとも低かったのはフロリダ州で、わずか19.55%だった。次にこの割合が低かったのは、サウスカロライナ州(20.25%)とルイジアナ州(20.49%)だった。
ほかの社員との勤務中の接触を会社が監視することを許可すると答えた社員の割合がもっとも高かったのはウィスコンシン州で、39.79%が同意した。
3月に開催されたバイオジェン(Biogen)の会議がきっかけとなって、ボストンは、ニューイングランドにおける集団感染の中心地となったが、ボストンが位置するマサチューセッツ州では、156人の回答者のうち、職場での接触追跡について問題ないと答えたのはわずか27%だった。ニューヨークでも、賛成率は25%にとどまった。
公民権・人権リーダーシップ会議(The Leadership Conference on Civil and Human Rights)、法の下の公民権のための弁護士会(The Lawyers’ Committee for Civil Rights Under Law)、ニューアメリカ・オープンテクノロジー研究所(New America’s Open Technology Institute)、および83の公民権団体は6月11日、新型コロナウイルス対策のこうしたテクノロジーはどれも、米国においてパンデミックと戦う手段として信頼でき、効果的であるとは証明されていないと批判したうえで、このようなテクノロジーは、「差別的でなく、効果が認められており、自発的参加に基づき、セキュリティが確保され、説明責任が果たされ、公衆衛生目的のためだけに使用される場合にのみ許される」とする声明を発表した。