また、就職・転職活動をしていない人も含めた「現在、仕事に関することで困っていることはありますか?」という問いに対しても、「LGBTへの理解のなさ」(45.8%)が1位だった。4位は「カミングアウトしたくてもできない状況である」(32.4%)であるように、LGBTQの人たち特有の悩みを抱えていることも露わになっている。
6月1日にはKDDIが同性パートナーの子供を社内制度の適用対象とする取り組みを発表し話題になったが、企業は人材流出防止の観点からも、LGBTQに対する社内制度の整備や理解の促進に取り組む必要性があるだろう。
過半数がメンタルヘルスの悪化を自覚
コロナ禍のLGBTQコミュニティに及ぼした影響は仕事面だけではない。
「これまでの回答の他に新型コロナウイルス感染拡大はあなたにどのような影響を与えましたか?」という問いに対し、1位は「孤独になってしまった」(28.9%)。2位は「新宿2丁目や地元のLGBT関係のNPOなど、安心できるつながりや居場所がなくなった」(21.8%)だった。
また、トランスジェンダーの人はホルモン治療などを受けるための通院ができなくなったり(3.9%)、同性パートナーと同棲している人は、リモートワーク中に同性パートナーがいることを隠すストレスを感じる(4.1%)など、生活面でも新たな影響があることがわかった。
そしてアンケート回答者の2人に1人以上が、メンタルヘルスの悪化を自覚していた。
回答者からは次のような声が聞かれた。
・相談相手がいない
・カミングアウトをしないといけないかもしれない
・友達や仲間、恋人と会えない
・ストレスが発散できない
・閉塞感と雇用への不安
・情報過多
上記の変化は、多くの人の悩みと共通するようだが、LGBTQの中には性的マイノリティのコミュニティに所属し、そこで生活の悩みを吐露したりしながら暮らしている人も多い。
そうした居場所に行きづらくなってしまったのは、感染したくないからだけではない。万が一そこで自分が感染者になれば、差別を受けたり、アウティングの被害に遭ったりする可能性があるからだ。
実際に、韓国のゲイバーでクラスターが発生した際には、同性愛者のバッシングや、追跡調査の過程でアウティングが発生したことが報じられている。
コロナ禍がLGBTQコミュニティに与えた影響は大きく、行政や企業にはLGBTQの人たちが置かれた状況を理解した上での対応が望まれる。また緊急事態宣言が解かれても、三密を避けるために性的マイノリティのオンラインでのコミュニティづくりも求められている。