人事担当者に問う、「採用に、経営目線を持てているか」

ヨハク 代表 山口達也(左)、モザイクワーク 代表取締役社長 杉浦二郎(右)


杉浦:シンプルに「自社なりの戦略をどれだけ持てるか?」だと思います。

3つに分けて、具体的に説明してみますね。

1. 上流の戦略(市場における自社のポジショニング等)をどう作るか?
2. それを実行する体制をどう作るか?
3. それを実行するための戦術ノウハウをどれだけ持ち、駆使できるか?

1にある“戦略”の中には「そもそも自社には今どのような人材が必要なのか?」が入っていて、ここは大きなポイントです。

いわゆる「今後の経営戦略に沿って、どのような人材を採用すべきか?」を考える必要性が、今まで以上にこれからの人事へ求められ始めているんですよね。そして、それに紐付いて「母集団を広げていく戦術」なのか、「一本釣りでピンポイント採用をしていく戦術」なのか……といった“戦術”の視座に落ちていく。

でも、この「そもそも自社が今どのような状況で、これからどの方向へ進もうとしているか?」を理解しようとしている方が少ないのではないかな?と思うんですよ。

それよりも、目先の採用数ばかりが大事になってしまい「いかに採用数を増やすか?」の戦術におけるHOW(=手法)ばかりが気になってしまっている。

新卒採用のシーンを大きく捉えた時に、この「上流の戦略を意識できているかどうか?」が採用の成功を決めるのではないかと考えます。

ヤマグチ:そのHOWは、例えばナビ運用だったりスカウトメールの打ち方だったり等のタスクを指していますか?

杉浦:はい、まさにそういった部分です。

もちろん、そのHOW自体を常に改善して工夫することは大切なのですが、そもそもこの部分って戦術の中でも下流の部分なんですよね。

だから、上流の「戦略」の部分がそもそもズレていたならば、いくら目先の戦術を工夫したとしても限界は来てしまうわけです。

ヤマグチ:その構造って、いわゆる恋愛に置き換えても同じですよね。

例えば、「お金をかけてすぐに見栄えが良くなる髪型や服装のみテコ入れした」としても、そもそもの人間性を磨いていなければ、相手に自分の良さが見かけ以上に伝わらないのと同じというか……。

杉浦:まさにそうですね。
 
だからこそ、そもそもの自分磨きをもっと行えば、採用が激戦化している今であっても自社なりのやり方で勝てるはず。

とはいえ、そうした「そもそもの自社の魅力」を磨いたり見つけようと努力している採用担当の人は極めて少ないのが現状かなとも同時に思います。

そして、改めて「自社の魅力」を見つめようとすると「採用の答えは、採用には無い」というところに行き着くのかなと。

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文=山口達也 写真=福嶋賢人

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