ノーベル賞受賞薬理学者が推奨する新型コロナ時代の呼吸法

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イグナロ博士によれば、より多くの一酸化窒素を肺に取り込めば、ウイルスや細菌から身を守ることにつながる可能性もあるという。

博士は現在、他の研究者たちと共に、肺の内部で一酸化窒素が新型コロナウイルス感染症に及ぼす影響について研究を進めている。

「口を通して息を吸うと、一酸化窒素が生成されません。また、息を鼻を通して吐くことは、最も一酸化窒素を必要とする肺から一酸化窒素を出してしまうという意味で、無駄が大きいのです」とイグナロ博士は述べている。したがって、呼吸法の話に戻れば、どの呼吸法を選んだとしても、イグナロ博士の助言に従って、呼吸ごとに体内に取り入れる一酸化窒素の量を最大化することが重要だ。

呼吸法を実践することで、すでにさまざまな研究で裏付けられている、制御された呼吸がもたらすメリットも享受できる可能性がある。こうした効用としては、心拍数や血圧を整える、脳のなかの感情を制御する部位が活性化する、さらには記憶力を向上させるといったものが挙げられる。

一方、こちらはまだ仮説の域を出ないが、呼吸を整えることで、免疫系の機能が高まり、エネルギー代謝が改善する可能性もある。

つまり、一酸化窒素を体内に最大限に取り入れる、シンプルで整った呼吸の実践は、私たちがすぐにでも試せる、最も効率的で実行しやすいストレス管理ツールの1つということだ。しかもこの方法は、実行するためにどこかに出かけたり、何かを買ったりする必要はない。単に「呼吸する」だけでいいのだ。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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