大学授業料の無償化:バイデンの提案
バイデンは、公立も含めて、すべての大学・カレッジの授業料が無償化されるべきだと考えているわけではない。しかし、収入に応じて授業料を無償化することは可能だと考えている。たとえば、バイデンは次のように提案している。
・学生ローンの返済免除:公立カレッジや公立大学に2年間または4年間通った者のうち、連邦政府学生ローンの債務があり、年収が12万5000ドル未満の場合は、授業料に関連した連邦政府学生ローンが肩代わりされる。
・毎月の返済:肩代わりするのは誰なのかというと、連邦政府だ。連邦政府学生ローンの債務が完済されるまで、連邦政府が毎月の返済額を支払う。
・歴史的黒人大学(HBCU)/少数派支援機関(MSI):学生ローンの返済免除は、私立のHBCUとMSIに通うために授業料を借りた学生ローン債務者にも適用される。
バイデンは、こうした計画の実施に向けた資金捻出のために、新型コロナウイルス救済策「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES Act)」に含まれる、高所得者の「超過事業損失」に対する税額控除の限度額撤廃措置を取り消すよう努めたいと述べた。
学生ローン返済免除の対象になるのは誰か
学生ローンを借りている人の多くはこう考えているだろう。「学生ローンの返済免除を受けるにはどうしたらいいのか」、あるいは「返済が免除されるのは誰なのか」と。
当面のところは、次の景気刺激法案で学生ローン返済免除が実現することは期待できない。民主党下院議員の主導により、学生ローン返済免除が盛り込まれた3兆ドル規模の新型コロナウイルス対策案(The Heroes Act)が下院で可決されたが、最終的な法案では、学生ローン返済免除の対象資格が限定されてしまった。さらに、上院で可決される見込みは低い。
トランプ大統領が2020年5月29日に、学生ローン返済免除法案に拒否権を行使したとはいえ、公職者学生ローン返済免除プログラムを通じて返済免除を受けることはいまでも可能だ。連邦政府学生ローンの返済免除を申請した人の98.5%は却下されたが、債務者2215人が合計1億4600万ドルの返済を免除されている。
トランプ大統領は2020年3月後半に大統領令を発令し、連邦政府学生ローンの回収を一時停止した。この措置は、CARES Actを受けて9月30日まで延長されている。しかし、CARES Actは一時的にローンの回収を停止しているにすぎず、学生ローンの返済が免除されるわけではない。