ビジネス

2020.06.19

配車リフトが2030年までにEV化宣言、充電ネットワークも整備

Photo by Andreas Rentz/Getty Images

配車サービスの「リフト(Lyft)」は温室効果ガスの削減を目指し、2030年までに全ての車両をEV(電気自動車)に切り替えようとしている。

サンフランシスコ本拠の同社はこの試みにより、数千万トンの温室効果ガスの大気への放出が抑えられ、今後10年でガソリン消費を10億ガロン以上、削減できると述べた。リフトはさらに大手自動車メーカーらに、EVの販売価格の引き下げを促していくという。

リフトの共同創業者でプレジデントのJohn Zimmerは、カンファレンスコールで「ガソリン車とEV車の間の、コスト格差を埋める道を探っていく」と話した。

同社は既に自動車メーカーと協議を進めている模様だが、Zimmerは詳細については明かしていない。EVへの切り替え対象には、同社がドライバー向けに貸し出すExpress Driveプログラムの車両や、自動運転車両が含まれるという。

リフトの株価は6月17日のナスダック市場で2%下落し、35.99ドルとなった。

米国ではアマゾンやUPS、アンハイザー・ブッシュらが輸送に用いるガソリン車やディーゼル車を廃止し、EVや燃料電池車に切り替えようとしている。リフトの動きはこれに追随するものと言える。

しかし、興味深いことにトランプ政権はこれとは反対の動きを進めており、国内の石油や天然ガス生産を伸ばし燃費制限を緩和し、温室効果ガス問題を無視している。

ウーバーやリフトの車両が都市の渋滞を加速させ、大気汚染を引き起こしていることは研究データでも示されている。2019年にリフトは、顧客がEVやハイブリッド車を呼べるオプションのGreen Modeの提供を開始したが、今回の試みはそれを一歩前進させたものになる。

環境保護を推進するファンドEnvironmental Defense FundのプレジデントのFred Kruppは、「世界経済がパンデミックからの復興を目指す今こそ、環境を意識した仕組みの再構築に乗り出すべきだ。リフトの試みはモビリティやテクノロジー分野に、新たな基準を示すものとなる」と述べた。

リフトは今後、他の環境保護団体とも協力し、EV化に向けた動きを進めようとしている。同社はEVの充電ネットワークの整備も進める計画だ。

編集=上田裕資

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