コロナショックで上場中止や公募割れが相次ぐ中、公開価格の2倍の9210円の初値をつけた。さらに買いが進み、4月21日には4万5050円、時価総額1000億円に達した。
瞬く間に市場の注目を浴びたのが大野暉(おおの・ひかる)代表取締役社長だ。1990年生まれ。プロ経営者としてはマザーズ史上最年少である29歳での上場を実現した。
同社には2016年、26歳でプロ経営者として参画し、上場まで導いた。2020年12月期の業績見通しは、売上高が前期比38.0%増の11.2億円、経常利益が同17.3%増の1.6億円と増収増益を見込む。
大野社長は上場時の会見で「求める企業規模に向けて、まだまだ踏み出したばかり」と語った。今後は主に人材への投資を予定しているという。現在、約40人の社員を束ねる。
高校の学費を工面するため多額の借金を背負ったことをきっかけに、高校1年で起業した。すでに15年間の事業経験がある。
若くして、自身が立ち上げたわけではない会社の社長に就任し、苦境から成長に導いた大野社長。経営者として最も大事にしていることとは一体何か。今後の展望、夢は。若き異才の頭の中を探った。
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【独白】プロ経営者としてマザーズ史上最年少上場、サイバーセキュリティクラウド大野暉社長の29年
とにかく信じてみる、任せてみる
今、経営者として一番大事にしていることは、「人を信じる」ということです。とにかく信じてみる、任せてみる、できなかったら一緒に振り返ってみる。これを徹底しています。
企業のゴミを管理する月額型クラウドサービスを手掛けていた学生起業家時代や、「ごちクル」などを提供するスターフェスティバルに勤めていた20代前半のサラリーマン時代は、「自分が一番仕事ができる」と思っていた節がありました。
高校時代から数多くの事業を立ち上げてきた経験から、何をやっても自分がやった方が効果も出るし、安心して仕事が進められる、そう思っていたのです。